敗血症

感染症の患者さんは多いけど、敗血症ってどんなふうに違うのか、イマイチ違いがわからなくて…。

感染症との区別は難しいよね。敗血症は、臓器の働きが落ちてくるのが特徴だから、その予兆に気づけるかが大切なんだ。敗血症について学んでいこう!

解説記事で学べること!

敗血症の病態

敗血症とは、感染症に対する体の反応が過剰になり、コントロールできなくなった結果、臓器の働きに障害を起こしてしまう状態のことをいうよ。単なる感染症ではなく「臓器障害を伴っているかどうか」が大きなポイントになる。

敗血症の原因は、細菌やウイルスや真菌(カビ)。特にリスク因子を持つ人は発症しやすいから、注意深く観察しよう!

原因菌ごとのリスク因子

原因菌主なリスク因子
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)糖尿病、COPD、心不全、血液透析・腹膜透析、がん、SLE、関節リウマチ、HIV感染症、臓器移植後、アルコール依存
クロストリディオイデス・ディフィシル(CD)抗菌薬使用、制酸薬(PPI・H2ブロッカー)、高齢、長期入院、腹部手術、経鼻カテーテル
カンジダ広域抗菌薬の使用、血管内カテーテル、人工物留置、TPN(中心静脈栄養)、抗がん薬、臓器移植後
インフルエンザウイルス65歳以上、妊婦、慢性呼吸器疾患、心疾患・腎疾患・肝疾患、糖尿病、免疫不全、肥満(BMI40以上)、長期療養施設入所、流行地への渡航歴
単純ヘルペスウイルス
(HSV)
臓器移植後30日以内、骨髄移植でのHSV不一致、妊婦での初感染
サイトメガロウイルス
(CMV)
臓器移植後、骨髄移植後、HIV感染症など免疫抑制状態
重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTS)農作業従事、屋外活動歴

どれもよく聞く名前ばかり…!
ということは、敗血症は身近な疾患ってことかな。

そう!基礎疾患やカテーテルや抗菌薬の使用といった医学的な処置、免疫状態がリスク因子なんだよ。

特殊な病態に伴う敗血症

感染症とは少し違うけれど、敗血症を引き起こすきっかけになる「特殊な病態」もあるよ。

  • 感染性膵壊死膵臓の一部が壊死して感染する状態。全身状態が安定していれば、発症から4週以降に被包化を待ってドレナージを行うなど、介入のタイミングが通常の敗血症と異なる。
  • 壊死性軟部組織感染症:皮膚や筋肉の感染が急速に広がる病態。早急な外科的切除(デブリードマン)が必要だよ。

敗血症性ショックとの違い

敗血症の中でも特に重症なのが敗血症性ショックだよ。

敗血症に加えて、以下の条件を満たしたときに診断されるんだ。

  • 輸液をしても血圧を維持できず、昇圧薬が必要になる
  • 血中乳酸値(ラクテート)が 2 mmol/L 以上に上昇している

敗血症性ショックは急性の循環不全を伴い、細胞レベルで代謝異常を起こしてしまう状態。敗血症の中でも最重症で、死亡率は約28%と報告されているよ。一方、ショックを伴わない敗血症の死亡率はおよそ10%とされていて、この差からも重症度の違いがわかるね。

敗血症性ショックのサインを見逃さないようにしないと…!

敗血症の症状

敗血症の症状は、最初は発熱や全身のだるさなど一般的な感染症と似ていることが多いんだ。でも、敗血症は症状が急速に悪化して臓器の働きに影響していくから、サインを見逃さないことがとても大切だよ。

初期症状・臨床所見

菌血症(血液中に細菌がいる状態)が疑われるときには、次のような症状や所見が出ることがあるんだ。

  • 発熱、悪寒・戦慄(ガタガタ震えるような寒気
  • 原因不明の低体温
  • 低血圧や頻呼吸
  • 意識障害(特に高齢者や小児では見逃されやすい)
  • 白血球数の増加または減少
  • 代謝性アシドーシス
  • 免疫不全の患者さんでは呼吸不全や腎障害、肝障害

特に「悪寒・戦慄を伴う発熱」は、菌血症を強く疑うサインとされているよ!

患者さんを観察するときは、スコアを活用して、敗血症のサインを早期に発見していこう。

qSOFA(quick SOFA)

意識・血圧・呼吸数の3つを評価し、2項目以上に当てはまると、敗血症の可能性が高いと判断され、精査や治療を開始するきっかけとなるんだ。

血圧収縮期血圧100㎜Hg以下1点
呼吸数22回/分以上1点
意識レベルGCSで15点未満1点

SOFAより簡易なもので、一般病棟やERにおける早期発見に有効だよ。ただし、感度はあまり高くないから、qSOFAの結果だけで敗血症を否定することはできないんだ。

SOFAスコア

臓器障害の重症度をみる指標で、合計が2点以上上がると重症化のサインになるよ。

さらに、深部体温が35℃未満の低体温は予後が悪いとされていて、免疫機能や心機能の低下、不整脈や電解質異常、凝固障害などの合併症を引き起こしやすいんだ。

低灌流(臓器に血液が行き届かない状態)のサインとして、斑状の皮膚や末梢チアノーゼ、毛細血管再充満時間の延長、血中乳酸値の上昇、尿量の減少などを観察しよう。

お守りカードを使って、実際に評価してみてね!
(【アセスメント】のタブにあるよ♪)

重症化のサイン

敗血症が進行すると、ショック状態に陥る恐れがある。輸液をしても血圧が保てず、昇圧薬が必要になるのが特徴で、これは「敗血症性ショック」の状態だよ。

ショックに進行すると、次のような病態を引き起こす可能性があるよ。

  • ARDS肺に強い炎症が起こってガス交換ができなくなる状態。人工呼吸管理が必要になることも多く、呼吸不全によって生命の危険が高まる。
  • 多臓器不全:腎臓・腸管・肝臓・心臓・中枢神経など複数の臓器が同時に障害を起こす状態。重症度が高く、治療が非常に難しくなる。
  • DIC(播種性血管内凝固):全身の血液が異常に固まり、小さな血栓がたくさんできる。その結果、血小板や凝固因子が消費され、逆に出血しやすくなる状態。重症例では血栓性微小血管障害(TMA)やヘパリン起因性血小板減少症(HIT)との鑑別が必要になることもある。

重症化のサインを見逃さないようにしよう!

敗血症の診断基準と主な検査

敗血症の診断では、「感染症があるかどうか」だけでなく「臓器障害が起きているか」を確認することが重要なんだ。

診断基準

敗血症敗血症性ショック
定義感染症または感染症が疑われる状態に加え、SOFAスコアが2点以上急上昇した場合敗血症に加えて、循環不全が進行した最重症の病態
診断基準感染症+SOFAスコアの急上昇
(2点以上)
①輸液しても血圧が維持できず昇圧薬が必要
②血中乳酸値が2mmol/Lを超える

つまり、敗血症はSOFAスコアで診断して、ショックかどうかは、血圧と乳酸値で判断するんだよ。

主な検査項目

敗血症と診断するためには、原因菌を突き止めることと、全身の状態を評価することの両方が欠かせないよ。

培養検査

  • 血液培養:もっとも重要な検査。抗菌薬投与前に、1セット(2瓶)で20mLを2セット以上採取するのが基本だよ。複数セットで行うことで検出率が上がり、コンタミ(混入)の判断にも役立つんだ。
  • その他の培養:感染が疑われる部位(痰・尿・髄液など)からも採取して原因菌を探すよ。
  • グラム染色:短時間で菌の種類を大まかに分類できて、経験的な抗菌薬の選択に参考になる。

血液検査

  • バイオマーカー:CRP、プロカルシトニン(PCT)、プレセプシン(P-SEP)、IL-6など。炎症や感染の程度を示すよ。ただ、単独では診断の決め手にはならないから、観察所見と合わせて補助的に使うんだ。
  • 血中乳酸値:臓器に十分な血液が届いていないサインで、敗血症性ショックの診断や重症度評価に重要なんだ。

画像検査

  • 感染源がどこにあるかを探すために行うよ。
  • 頭頸部=造影CTやMRI、胸部=X線やエコー・造影CT、腹部=エコー・CT・MRI/MRCP、軟部組織=CTやMRI

なるほど!敗血症の診断には、原因菌を見つける検査が大切なんだね。

敗血症の治療

敗血症の治療は、「抗菌薬治療」「循環動態の安定化」「感染源コントロール」の3つを中心に行うよ。

抗菌薬治療

敗血症の治療でいちばん大切なのは、原因となっている感染症に対してできるだけ早く抗菌薬を投与することなんだ。

薬剤の選び方は、感染部位や患者さんの背景、地域で多い菌の傾向、さらに迅速検査の結果を総合して決めるんだ。


たとえば、 ESBL産生菌や耐性緑膿菌が疑われるときにはカルバペネム系を、MRSAや真菌が疑われるときにはそれぞれに対応できる薬を選ぶことになる。

また、腎機能が落ちている患者さんでは血清クレアチニンや透析の有無に応じて用量調整が必要だよ。

培養結果が出ればデエスカレーション(抗菌薬を必要最小限に絞ること)を行うことも大切。治療期間は、長く続けるよりも7日以内の比較的短期間で終えることが推奨されているよ。

抗菌薬の詳しい解説はこちら👈

循環動態の安定化

敗血症が進むと、血圧が下がったり臓器に血液が届きにくくなったりすることがあるんだ。特に敗血症性ショックに進むと、輸液だけでは血圧を維持できず、命に関わる危険がある。だから「循環を安定させる治療」も欠かせないんだよ。

  • 敗血症の場合は、まず輸液療法で血管内のボリュームを補うことが基本になる。輸液によって循環を整えて、臓器にしっかり血液を届けるんだ。
  • 敗血症性ショックの場合は、輸液をしても十分な血圧が保てないから、血管収縮薬を追加して使うことになる。第一選択はノルアドレナリンだよ。このとき血圧は収縮期血圧ではなく、臓器への血流の指標となる「平均動脈圧(MAP)」で管理されることが多く、初期の目標値は65mmHg以上とされているんだ。

敗血症は輸液、ショックになったら昇圧剤も必要で、血圧はMAPで見るってことですね!

輸液療法の詳しい解説はこちら👈

感染源コントロール

抗菌薬や循環管理で全身を支えながら、敗血症の原因となっている感染源を取り除くことが根本的な治療になるよ。

たとえば、以下のような治療をすすめていくよ。

  • 膿瘍:ドレナージで膿を出す
  • 腹腔内感染(汎発性腹膜炎など):外科的に感染源をコントロール
  • 尿路閉塞による急性腎盂腎炎:ステントや腎瘻で閉塞を解除
  • 壊死性軟部組織感染症:早期の外科的デブリードマン
  • カテーテル関連血流感染症:カテーテルを抜去
  • 膿胸:開胸または経皮的ドレナージ

患者さん一人ひとりの病態に応じて、アプローチが必要なんだ。

敗血症患者の看護

敗血症の患者さんをケアするときは、全身状態の観察や日常生活のサポートに加えて、悪化の兆候を見逃さないこと、家族への支援、そして多職種との連携がとても大切なんだ。

ショックの観察とケア

敗血症は短時間で悪化してショックに至ることがあるんだ。日常的な観察とケアでサインを早く見つけ、重症化を防ぐことが大切だよ。

  • バイタルサイン(体温・脈拍・血圧・呼吸数・SpO₂)をこまめに観察する
  • 尿量や皮膚色、四肢の冷感など循環状態の変化を確認する
  • 意識レベルの変化をJCSやGCSで評価し、qSOFAなどのスコアも活用する
  • 呼吸数や呼吸音、SpO₂を観察して呼吸不全の兆候をとらえる
  • 急な血圧低下や尿量減少があれば速やかに報告し、指示を仰ぐ
  • 輸液をしても血圧が改善しない場合はショックを疑い、変化を見逃さないようにする
  • 抗菌薬投与後は体温や症状の変化を観察し、治療効果を評価する

ショックに至った患者の看護

敗血症がショックに進行した場合は、集中治療下で全身管理が必要になるよ。看護師は治療がスムーズにいくよう調節し、患者さんの安全と安楽を守る役割があるんだ。

  • 輸液や昇圧薬の効果を確認し、血圧や尿量を継続的にモニタリングする
  • 酸素投与や人工呼吸器管理が行われている場合は、呼吸状態を観察し異常を早期に報告する
  • 褥瘡や医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)の予防を徹底する
    • ショックでは血管透過性亢進や大量輸液による浮腫、カテコラミン投与による末梢循環障害を起こしやすい
    • そのため皮膚が脆く、容易に表皮剥離や潰瘍を起こしてしまうから、体位変換やスキンケアは注意深く行う
  • 低体温や代謝異常などの全身状態を観察し、治療の影響も含めて記録・報告する
  • 意識障害や不安がある患者さんやご家族に対しては、安心できる声かけや環境調整をし、不安に寄り添う

ショックは“早く見抜くこと”と“進ませないこと”が大事。もし起きてしまったら皮膚や全身のケアをしっかり行おう!

敗血症を振り返ってみるよ!

「敗血症」解説記事のまとめ
  • 敗血症とは、感染症による体の反応が制御不能になり、臓器障害を起こす状態。
  • 発熱・悪寒・戦慄、低体温、意識障害、頻呼吸などが主な症状。進行すると低血圧や臓器不全、DIC、壊死性軟部組織感染症などを合併する。
  • SOFAスコアの上昇で敗血症を診断。ショックの有無は血圧と血中乳酸値で判断する。
  • 治療は、早期の抗菌薬投与が中心。輸液や血管収縮薬で循環を安定させ、さらに膿瘍ドレナージや閉塞解除などの感染源コントロールを行う。
  • 看護師は、全身管理と観察を徹底し、ショック兆候の早期発見に務める

敗血症と他の感染症の違いが分かりました!小さな変化を見逃さないように意識してみます!

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