
糖尿病


糖尿病の患者さんってほんとに多いよね~!
血糖測定にインスリン…すごく大変!!

一日に何回もやるんだもん。
患者さんはもっと大変だよ。

でも毎日やってるからこそ患者さんは、慣れてるんじゃない?

それほど継続治療が大切な病気ってことだよ!
糖尿病について復習していこう!
解説記事で学べること!
糖尿病の病態

糖尿病とは、血液の中の糖が多くなりすぎてしまう病気のこと!
糖が増えすぎた状態が続くと、血管や臓器が少しずつダメージを受けて、いろんな合併症を引き起こす原因になるんだよ。
ブドウ糖をエネルギーとして使うために必要な「インスリン」というホルモンが関係しているんだ。このインスリンが足りなかったり、うまく働かないことで糖尿病を発症してしまうよ。
糖尿病の分類

糖尿病は大きく4つのタイプに分類されるよ。2型糖尿病の患者さんが多いけど、他の型との違いは区別できるようにしておこう!
1型糖尿病
1型糖尿病は、インスリンをつくる膵臓の「β細胞」が壊れてしまうことで起こるよ。だから、インスリンがほとんど出なくなってしまう(絶対的な欠乏)状態なんだ。
発症のタイプは3つ
- 急性発症型:数ヶ月以内に急に症状が悪化:自己抗体(GAD抗体など)が陽性なことが多い
- 劇症型:数日で一気に重症化、抗体は陰性が多い:アミラーゼやリパーゼ(膵酵素)が上がることも
- 緩徐進行型(SPIDDM):ゆっくり進行、2型に見えることも
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリンがうまく効かなくなる「インスリン抵抗性」と、インスリンの分泌不足の2つが重なって起こることが多いよ。
特に日本人は、おなかまわりの内臓脂肪が増えることで、インスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)という特徴があるんだ。見た目にはやせていてBMIが25未満でも、内臓脂肪がたまっていればインスリン抵抗性を示すことがあるといわれているよ。だから、腹囲の測定も重要!
さらに、内臓脂肪が増えると、血液中の「遊離脂肪酸」という成分が多くなりやすい。遊離脂肪酸は、脂肪がエネルギーとして使われるときに脂肪細胞から分解されて、血液中に放出される“分解された脂肪”のこと。この遊離脂肪酸が多くなると、インスリンの働きを邪魔したり、膵臓のβ細胞を疲れさせてインスリンを出しにくくしてしまうんだ。

1型糖尿病と2型糖尿病を比べてみたよ!
| 項目 | 1型糖尿病 | 2型糖尿病 |
| 原因 | 自己免疫などで膵β細胞が壊れる | インスリンの効きが悪くなる +分泌が足りない |
| インスリン分泌 | ほぼゼロ(絶対的に不足) | 出てはいるが相対的に足りない |
| 発症年齢 | 小児~若年が多い | 中高年に多い |
| 発症の速さ | 急に症状が出てくる | ゆっくり進行し、気づきにくいことも |
| 体型 | やせ型が多い | 肥満(特に内臓脂肪型)が多い |
| 治療の基本 | インスリン注射が必要 | 食事・運動+内服薬や注射薬 |
妊娠糖尿病
妊娠中に初めて見つかる血糖値の異常のことを「妊娠糖尿病」っていうんだ。妊娠糖尿病は、出産後は正常に戻ることが多いよ。でも、2型糖尿病リスクが高いから、出産後もフォローが必要なんだ。
その他の糖尿病
そのほか、以下のような原因で糖尿病になることもあるよ。
- 遺伝子異常(MODYなど)
- 膵臓の病気(慢性膵炎、膵がん)
- ホルモンの病気(クッシング症候群など)
- 薬剤性(ステロイドなど)
- 肝疾患・感染症 など
こうしたタイプは少ないけど、病歴から原因を見つけることも大切!

タイプによって、治療の方針が大きく変わるから、「インスリンが出ているか?」「ちゃんと効いているか?」をしっかり見極めよう!
糖尿病の症状
糖尿病で血糖値が高くなると、次のような典型的な症状が出てくることがあるよ。
- 口渇
- 多飲
- 多尿
- 体重減少
- 易疲労感
これは、血液中に糖が多すぎて、腎臓が糖を尿から出そうとするため。そのとき水分も一緒に失われるから、のどが渇いて水を飲む、またトイレが近くなる…という流れなんだね。インスリンがうまく働かない状態が続くと、体がエネルギー不足になってしまうから、痩せたり、疲れやすくなったりするのも特徴なんだ。

代表的な症状は知ってたけど、メカニズムを知ると納得だね!
ゆっくり進行する糖尿病だけど、実は急に症状が悪化する「急性の異常」もあるよ。代表的な3つの状態を解説するよ!
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)
特に1型糖尿病の人に多いんだけど、インスリンが極端に不足すると、体がエネルギー源として脂肪を分解し始める。そのときにケトン体という酸性の物質がたくさん出て、血液が酸性に傾いてしまうのがケトアシドーシスだよ。
主な症状はこちら。
- 吐き気・嘔吐
- 腹痛
- 呼吸が速く深くなる(クスマウル呼吸)
- 意識がぼんやりする
血糖値は250mg/dL以上のことが多いけど、SGLT-2阻害薬を使っている患者さんでは、高血糖を伴わずにケトアシドーシスになることもあるから注意が必要なんだ。
乳酸アシドーシス
これはビグアナイド系薬剤(例:メトホルミン)などが関係して起こることがあるよ。何らかの原因で体内に酸素が足りなくなると、乳酸という物質がたまって血液が酸性に傾くんだ。
呼吸が荒くなったり、倦怠感、意識障害が出ることがあるけど、初期には症状がないこともあるんだ。
所見としては、血中乳酸が5.0 mmol/L以上・血液pHが7.35未満(代謝性アシドーシス)を示すよ。
低血糖
糖尿病の治療中に最もよく見かけるのが低血糖。血糖が70mg/dL未満になると、交感神経の反応や脳のエネルギー不足による症状が出てくるよ。
低血糖の症状はこちら。
- 動悸
- 発汗
- 手のふるえ
- 脱力感
- 意識レベルの低下(重症化時)
軽度の低血糖は甘いものの摂取で回復するけど、重症化するとけいれんや昏睡に至ることもあるから、対処が必須!とくに高齢者や「無自覚低血糖」のある人では、症状があらわれにくいから注意しよう。
糖尿病の検査

糖尿病の診断には、「糖尿病型」の検査結果が2回確認されることが基本だよ。
空腹時血糖が高かった場合は、別の日にもう一度測って同じく高ければ診断ができる。ただし、1回の血糖値+糖尿病の症状(口渇・多飲・体重減少など)や、明らかな糖尿病網膜症があるときは、1回でも診断されることもある。
また、血糖値とHbA1cが同時に糖尿病型の数値を示したときは、1回の検査でもOKとされているよ。HbA1cだけで初診時に診断した場合は、別の方法での再検査が必須だから注意しようね。
血液検査・尿検査
糖尿病の検査では、血糖値やHbA1cをはじめとした、いろいろな項目を調べるんだ。
- 血糖値(空腹時や随時):その時点での血糖の高さを見る。空腹時血糖126mg/dL以上、または随時血糖200mg/dL以上だと糖尿病型とされるよ。
- HbA1c:過去1〜2か月の平均的な血糖状態を示す指標。6.5%以上が糖尿病型の目安
- 脂質(LDL、中性脂肪、HDL):動脈硬化のリスクを評価
- 腎機能(BUN、eGFR):腎症の有無をチェック
- 肝酵素(ALT、γ-GTP):肝機能や脂肪肝の影響を見る
- 電解質・血算:体内バランスや感染の有無など
- 尿検査(糖・蛋白・ケトン体):腎臓や代謝状態を反映
1型糖尿病の検査
やせ型・若年・急な発症の患者さんでは、1型糖尿病も考える必要があるよ。血液検査で以下の項目を調べて診断するんだ。
- 抗GAD抗体などの膵島関連自己抗体:自己免疫性の1型を見分ける
- 血中Cペプチド:インスリンがどのくらい出ているかを評価
- 膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ):膵炎や劇症型の可能性もチェック

糖尿病は、検査に加えて、肥満度を評価するための腹囲測定や、高血圧の評価として血圧測定なども行うよ。身体症状も、糖尿病の診断や全体像の把握に役立つんだ。
糖尿病の治療

糖尿病の治療は、「食事・運動・薬物」の三本柱!
糖尿病治療の目的は、合併症を防いで、生活の質を下げないこと。血圧や脂質の管理も含めて、QOLと健康寿命を守ることが目標なんだ。血糖コントロールの目標は、HbA1cの値が6.0%〜8.0%の範囲を目標にすることが多いけど、年齢・合併症・既往などを総合的に判断して、一人ひとりに合った目標値を設定していくよ。
食事療法
糖尿病治療の基本は、まず「食事の見直し」から。1型でも2型でも、血糖コントロールには欠かせないよ。
総エネルギー量は「目標体重×25〜30kcal/日」が目安になるけど、75歳以上の高齢者では現体重を基準にすることもあるよ。特に過体重や肥満を伴う2型糖尿病では、エネルギー制限が血糖改善に効果的なんだ。
短期間であれば、糖質制限(炭水化物制限)が取り入れられることもあるよ。無理なく続けられるように、管理栄養士さんのサポートも大切。
運動療法
2型糖尿病の患者さんでは、血糖を下げたり、インスリンの効きを良くするための、「運動療法」が効果的だよ。
おすすめなのは、有酸素運動(ウォーキングなど)やレジスタンス運動(軽い筋トレ)。1日30分を目安に、週3回以上が理想なんだ。
1型糖尿病では、血糖値の改善効果ははっきりしていないけど、心臓や血管の健康維持には有効と言われているよ。
ただし、運動によって低血糖を起こすリスクがあるから、血糖値やインスリン量を確認して、適切な運動量を指導しよう。
薬物療法
食事・運動と生活面を見直しても改善が見られないときには、薬物療法が導入されるよ。薬は大きく分けて、経口薬と注射薬があるんだ。
よく使われる薬剤は以下のとおり。
【ビグアナイド薬(メトホルミン)】
肝臓で糖がつくられるのを抑える作用があり、最初に使われることが多い。体重が増えにくいメリットの一方で、下痢や食欲低下といった胃腸の副作用が出ることも。
【SGLT2阻害薬】
尿中に糖を排出させて血糖を下げる。体重減少や心・腎保護効果も期待される。脱水、尿路感染、ケトアシドーシスに注意が必要。
【DPP-4阻害薬】
インクレチンの働きを高めて、食後高血糖をゆるやかに改善。低血糖のリスクは低い。まれに発疹や消化器症状が出ることがある。
【GLP-1受容体作動薬(注射/一部は内服も)】
インクレチンの作用を強く再現する薬で、食欲をおさえて体重も減らしやすい。注射薬が中心だけど、内服薬もあり。DPP-4阻害薬とは併用不可。
【インスリン療法】
1型糖尿病では必須の治療。2型でも血糖が十分に下がらないときに使われる。1日1回の持効型から、食前ごとの頻回注射まで種類はいろいろ。「持効型→追加型→頻回注射」と段階的に増やす方法もある。副作用として低血糖や体重増加がある。
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治療の選択方法
糖尿病の治療はその人に合った方法を選ばなければいけないよ。
たとえば、肥満がある2型糖尿病では、インスリンやSU薬はできるだけ最小限にして、体重を減らす効果がある薬(SGLT2阻害薬やGLP-1作動薬)が選ばれることも多いんだ。
また、糖尿病の患者さんでは高血圧や脂質異常症も一緒に持っていることが多いから、血圧やコレステロールも一緒に治療していくんだ。血圧は130/80未満、LDLコレステロールは70〜120未満を目安にコントロールしていくよ。そのために、降圧薬(ACE阻害薬・ARB)や、脂質を下げるスタチンがよく使われるんだ。

患者さんの基礎疾患や生活スタイルによっても、
治療薬や各項目の目標数値が変わるんだね!
糖尿病の合併症

糖尿病で特に注意したいのが、細い血管が障害されて起こる三大合併症!
三大合併症(細小血管症)
【糖尿病網膜症】
目の奥にある「網膜」の血管が傷つくことで起こる合併症。初期は気づかれにくいけど、進行すると視力に影響が出ることも。治療はレーザーや手術などがあるよ。
【糖尿病性腎症】
腎臓の中の細かい血管が障害され、最初は尿にたんぱく(アルブミン)が出てくることで見つかることが多いよ。進行すると、腎機能が低下して透析が必要になることも…。治療薬のSGLT2阻害薬などは、腎機能を守る効果があるよ。
【糖尿病性神経障害】
神経がダメージを受けることで、全身に不調が起こる合併症。特に手足の先からじわじわ出てくる神経障害が多いんだ。血糖のコントロールに加えて、痛みに対する薬や生活面での注意も必要になるよ。
動脈硬化による大血管症
糖尿病があると、動脈硬化が進みやすくなるんだ。その結果、心筋梗塞や脳梗塞、足の血流障害(末梢動脈疾患)といった重大な病気のリスクが高まるよ。だから、血糖だけじゃなく、血圧・脂質も含めた全身管理が大切。
糖尿病性足病変
神経障害や血流の悪化によって、足の傷が治りにくくなったり、潰瘍ができたりすることがあるんだ。感染が重なると、足の切断が必要になるケースも。フットケアが重要だよ。
その他の合併症
- 心不全:糖尿病があると心臓への負担が大きく、心不全を起こしやすい。SGLT2阻害薬が予防に効果的だよ。
- 歯周病:歯ぐきの病気は糖尿病と相互に悪影響を与えるから、歯科とも連携しよう。
- 脂肪肝(NAFLD/NASH):肥満を伴う糖尿病患者に多く、食事・運動で体重を減らすと肝臓の状態もよくなるよ。

糖尿病の合併症は、症状が出たときにはもう進行していることが多いんだ。早めの予防とケアが大切!
糖尿病患者の看護

糖尿病は改善=治癒ではない。患者さんはこの先の人生ずっと付き合っていかなければならないんだ。だからこそ、意識や行動を支えるサポートが大切!
疾患や治療の理解をサポートする
糖尿病は、薬だけで良くなるわけじゃないんだ。自分で日々コントロールしていく「自己管理」がとても大事な病気だよ。
- 難しい専門用語は使わず、やさしい言葉に言い換えて説明する
- 「なぜ食事が大事なのか」「薬を飲むタイミングはなぜ決まっているのか」など、根拠を伝える
- 一般的なやり方の指導だけではなく、患者さんの生活背景や理解度に合わせて指導する
- 「こんな時はどうしますか?」など起こりうるトラブルをシュミレーションし、不安や疑問を引き出せるような関わりを心がける
治療が続けられるよう寄り添う
糖尿病治療は、この先ずっと続くからこそ「途中で嫌になる」こともあるんだよね…。そんなときに、励まし・寄り添ってくれる看護師の存在は支えになるよ。
- 小さな変化や毎日続けていることに気付き、「がんばってますね」「できていますよ」と前向きな声かけをする
- 無理な提案や否定をせず、「患者さんの目標」に合わせる
- 自己管理の失敗に対して責めず、実現可能な対策や、解決方法を一緒に考える
- 糖尿病へのネガティブイメージによって落ち込み・不安の強い患者さんには、思いを傾聴し寄り添う
- 患者さんや家族のペースで焦らず根気強く関わる
血糖コントロールの指導を行う
血糖コントロールの基本は、自己管理。血糖測定・インスリン注射・シックデイの対応を身に付けてもらおう!
- 血糖測定のタイミングや数値の意味を繰り返し説明する
- 測定器・持続血糖測定(CGM)の取り扱いが正しくできているか確認する
- インスリン注射の手技、保管、自己注射への導入をサポートする。
- シックデイ(発熱・下痢など体調不良時)のときの血糖変動や脱水リスクを伝える
- 「いつ受診するか」「インスリンはどうするか」など、判断の目安を具体的に説明する。
チームで支える
医師、薬剤師、管理栄養士、療養指導士…たくさんの職種が力を合わせて、患者さんを中心に支えていくよ。
- 医師や多職種との情報共有(生活背景や自己管理の状況など)
- フットケアの情報を共有して、足の潰瘍の予防につなげる
- 栄養指導や服薬指導と連携し、日々の生活で実行できるよう繰り返し教育する
- 患者さんと一緒にゴールを決める「共同意思決定」を大事にする

糖尿病を振り返ってみるよ!
「糖尿病」解説記事のまとめ
- 糖尿病はインスリンの異常で血糖が高くなり、血管や臓器にダメージを与える病気
- 糖尿病の治療は、生活習慣の見直しと、食事・運動・薬物療法
- 代表的な症状は「多飲・多尿・体重減少」など。ケトアシドーシスや低血糖などの急変にも注意が必要
- 血糖コントロールの不良は、目・腎臓・神経の「三大合併症」をはじめ、心血管疾患や足病変など、さまざまな合併症を引き起こす
- 血糖測定や注射の手技支援、シックデイ対応など、自己管理を支える関わりが大切

治療の継続ができるようサポートするのが看護師の大切な役割ってことだね!
ナスポケ


インスリン療法 | ナスポケ
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