肺炎

肺炎の患者さんって本当に多くて、最近は肺炎患者さんのケアにもだいぶ慣れてきた!みんな抗菌薬を使えば元気に退院してくれるから嬉しいよね~!

ちょっと待って...!肺炎は早期に適切な治療をすれば改善が見込める疾患ではあるけど・・・薬以外のケアがかなり重要な疾患だからね。今一度、肺炎について学んでいこう!

解説記事で学べること!

肺炎の病態

肺炎とは、肺の中でも特に肺胞に炎症が起こる病気。

肺胞は、吸い込んだ空気から酸素を取り込み、二酸化炭素を体の外に出すという、呼吸の中心的な役割を果たしているよ。

この肺胞に、何らかの病原体が入り込むことで炎症が起きると、ガス交換がうまくできなくなり、「息苦しい」「呼吸が速い」「全身がだるい」といった症状が出てくるんだ。

かぜと似たような症状もあるけど、肺炎は炎症が肺胞で起こるのに対し、かぜは主に鼻やのどなどの上気道に炎症が起きるもの。だから、肺炎は呼吸困難や酸素の取り込み低下といった、より深刻な症状が引き起こされるよ。

肺炎の原因はさまざまで、代表的なものには以下のような病原体がある。

  • 細菌:肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマ など
  • ウイルス:インフルエンザウイルス、RSウイルス、SARS-CoV-2(COVID-19) など
  • 真菌:免疫力が落ちている人に多く見られる
  • 嫌気性菌:特に高齢者の肺炎で重要になる

どの病原体によるか、また患者さんの年齢や体力、基礎疾患の有無などによって、症状の現れ方や重症度も異なってくるよ。

肺炎の診断・治療には、市中感染の重症度を評価するA-DROPスコア(高齢・脱水・呼吸状態・意識レベル・血圧)や、I-ROADスコア(NHCAPや院内肺炎で使用される重症度指標)などが用いられる!

どちらも点数が高いほど重症と判断され、肺炎の重症度を客観的に評価し、治療方針を決めるための大切な指標なんだ。

さらに、肺炎は、感染経路や、患者さんの背景によっていくつかのタイプに分けられるよ。

市中肺炎(CAP:Community-Acquired Pneumonia)

市中肺炎は、病院の外でふだん通りの生活をしている人がかかる肺炎。多くは細菌によるもので、肺炎球菌が代表的だよ。他に、マイコプラズマやインフルエンザウイルスなども原因になるんだ。

比較的健康な人でも発症することがあり、若年者では「歩ける肺炎」と呼ばれるような、軽い症状の非定型肺炎もある。一方で、高齢者では見た目の症状が軽くても、肺炎が進行していることがあるから注意が必要だよ。

院内肺炎(HAP:Hospital-Acquired Pneumonia)

院内肺炎は、入院中に新たに発症する肺炎。特に入院後48時間以降に出現したものを指すよ。

このタイプの肺炎は、病院内に存在する耐性菌(MRSAや緑膿菌など)が原因となることが多く、治療が難しく、重症化しやすい傾向がある…。栄養状態の悪化、免疫力の低下、過去の抗菌薬使用などがリスクになるよ。

また、人工呼吸器を使用している患者では「人工呼吸器関連肺炎(VAP)」の可能性もあり、予後が不良となるケースもあるんだ。

医療・介護関連肺炎(NHCAP:Nursing and Healthcare-Associated Pneumonia)

医療・介護関連肺炎は、次のような医療や介護のサポートを受けている人が発症する肺炎。

  • 介護施設や長期療養病床に入所している
  • 最近90日以内に入院歴がある
  • 通院で透析、化学療法、免疫抑制治療を受けている

このような人は、口腔内の常在菌や嫌気性菌、さらに薬剤耐性菌(MRSAやESBL産生菌など)が原因となることがあるんだ。体力や免疫力が落ちているうえ、誤嚥のリスクも高く、肺炎を繰り返しやすいことが特徴だよ。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎は、医療・介護関連肺炎の中でも頻度が高く、臨床でもよく目にする病気だね。

加齢や病気の影響で嚥下機能(のみこむ力)が低下すると、食べ物や唾液、胃液が誤って気道に入ってしまう誤嚥がおこる。誤嚥により、口の中の細菌が肺に入り、炎症を起こすのが誤嚥性肺炎だよ。

原因菌としては、口腔内に常在するレンサ球菌や嫌気性菌が関与している。高齢者、脳血管障害のある人、認知症、寝たきりの人などに多くみられ、症状がわかりにくいこともあり注意が必要だね。

肺炎の症状

肺炎でよく見られる代表的な症状は、せき(咳嗽)・痰(喀痰)・発熱・呼吸困難(息苦しさ)など。

体温は38℃を超えることが多く、悪寒(寒気)や全身のだるさ(倦怠感)を伴い、数日続くことがある。せきに加えて、黄色や緑色、または鉄さび色の痰が出ることもあるよ。

呼吸が浅くなったり、息切れや呼吸困難を感じたりすることも多く、これらの症状が組み合わさってくると、体力を大きく消耗するんだ。

ただし、すべての患者に典型的な症状が現れるとは限らない。特に注意が必要なのは高齢者や、ADLが低下している方、中枢神経系の疾患を持っている方だよ。

こうした患者さんは、典型的な症状が出ない代わりに、食欲低下、元気がない(活動性の低下)、歩けなくなる、なんとなくぼんやりしているといった“肺炎らしくない”症状から始まることがある。だから、肺炎に気が付かず、悪化した状態で病院に搬送されることも少なくないんだよ。

また、マイコプラズマ肺炎などの非定型肺炎では、痰が少なく、比較的軽い咳やだるさが中心になることも。こうした場合は診断が難しく、見逃されやすい傾向があるよ。

肺炎の検査

肺炎が疑われた場合、医師は問診や診察に加えて、いくつかの検査を組み合わせて診断を進めるよ。ここでは、臨床でよく使われる代表的な検査について紹介するね。

胸部レントゲン

肺炎の診断で最もよく使われる画像検査。


咳や発熱などの症状がある場合、まず胸部レントゲン撮影が行われ、肺の中に炎症による白い影(コンソリデーション)やスリガラス様の陰影があるかどうかを確認するよ。肺炎の広がりや重症度、他の病気との鑑別にも役立つんだ。

血液検査

肺炎の診断や重症度の把握には、血算や生化学検査を含む血液検査が行われる。

白血球数(WBC)やCRP(C反応性タンパク)は、炎症の有無や程度をみる基本的な検査項目。さらに、プロカルシトニンという炎症マーカーが測定されることがあるよ。

プロカルシトニンは、通常は体内にほとんど存在しない物質。でも、細菌感染時に血中で増えることから、ウイルス感染との判別や抗菌薬治療の効果判定に有効とされているよ。これは生化学検査の項目の一つで、CRPとあわせて評価されることが多いね。

また、血液培養(血培)も、細菌が血流に乗って全身に広がっている(敗血症)の可能性があるときに提出され、原因菌の同定や治療選択に役立つんだ。

喀痰検査

痰が出る患者さんでは、喀痰検査が行われ、原因菌の特定に役立つよ。

  • グラム染色により、細菌の種類を大まかに判断する
  • その後の培養検査で、どの菌が増殖しているか、どんな抗菌薬が効くかを調べる
  • 肺炎球菌やレジオネラ菌に対しては、抗原検査や遺伝子検査(mPCR)が用いられることも

痰がうまく採れない場合には、気管吸引や気管支洗浄(BAL)といった方法で検体を採取するよ。

尿検査(尿中抗原検査)

尿検査では、肺炎の原因菌である肺炎球菌やレジオネラ菌の抗原を尿中から検出することができる。

  • 検査結果が早く出るため、初期治療の参考になる。
  • 特に痰が出にくい患者さんや、高齢者では有効な手段

ただし、肺炎球菌の抗原は感染後もしばらく陽性が続くことがある…。過去の感染と区別がつきにくい点を考慮し、複数の検査結果を組み合わせて診断されるよ。

肺炎の治療

肺炎の治療の中心となるのは、抗菌薬による薬物治療。患者さんの年齢や全身状態、関連する病原体、過去の抗菌薬使用歴などを考慮し、治療内容が選択されるんだ。

抗菌薬による治療

抗菌薬は、原因菌や経路、経過などを考慮し、適切な薬剤と投与期間が選択されるよ。

市中肺炎(CAP)

市中肺炎の原因菌として最も多いのは、肺炎球菌。でも、肺炎の初期段階では原因菌を特定することは難しいから、まずは可能性のある複数の病原体に広く対応できる抗菌薬を選択する必要がある。これを「エンピリック治療(経験的治療)」というよ。

エンピリック治療では、典型的な原因菌を予測して効果が見込まれる薬剤を先に使うため、最初に使用される抗菌薬には、β-ラクタム系抗菌薬(例:ペニシリン系やセフェム系)がよく選択されるよ。

一方で、マイコプラズマ肺炎などの非定型肺炎には、β-ラクタム系は効かないから、マクロライド系(クラリスロマイシンなど)やテトラサイクリン系(ドキシサイクリンなど)が使われるよ。

治療の経過が良好であれば、注射薬から内服薬へ切り替える「スイッチ療法が推奨されている。 また、抗菌薬の投与期間はおおよそ1週間以内の短期間で十分とされているよ。

院内肺炎(HAP)・人工呼吸器関連肺炎(VAP)

入院中に発症する院内肺炎や、人工呼吸器を使用中に発症するVAPでは、病院内の耐性菌(MRSA、緑膿菌など)が関与していることがあるんだ。

この場合、初めから抗緑膿菌薬や抗MRSA薬を選択するのではなく、原因菌や経過に合わせて、徐々に抗菌薬を「狭域化(デエスカレーション)」していくよ。

治療期間は、原則として1週間程度の短期間が推奨されている。ただし、ブドウ糖非発酵菌(緑膿菌など)による感染では再燃のリスクが高くなるから、慎重な経過観察が必要だよ。

VAPにおいては、単剤療法が基本であり、広域をカバーできるカルバペネム系抗菌薬の使用も避けるべきとされているよ。

医療・介護関連肺炎(NHCAP)

NHCAPでは、耐性菌(MRSAや緑膿菌など)のリスクがあるかどうかを見極めることが大切。耐性菌のリスクが低い場合には、広域抗菌薬を避け、狭域抗菌薬で治療を開始することが推奨されているよ。

逆にリスクが高いと判断される場合には、効果的な広域抗菌薬を選択する必要があるけど、不必要な多剤投与は避けるべきなんだ。

治療期間については、市中肺炎と同様に短期間で済むこともあれば、症状や病態によって調整される場合もあるよ。

補助療法

肺炎の治療では、抗菌薬だけでなく、呼吸状態や全身状態を支える補助的なケアも欠かせないよ。

ステロイドの使用

ステロイドは、免疫の過剰な働きを抑える効果があり、炎症による肺障害(肺胞の損傷、ARDSへの進行)を防ぐ目的がある。だから、重症肺炎の場合には、短期間(3~7日)の投与が検討されるよ。

でも、軽症~中等度の肺炎では、ステロイドの使用は推奨されていない。抗菌薬の使用により、自然回復が期待できたり、免疫を抑制することでかえって病原体が排出しづらくなったりする可能性があるんだ。

肺炎により酸素飽和度が低下した場合には、酸素投与を行い、必要に応じて気道確保や人工呼吸器の使用も検討されるよ。

さらに、重症の低酸素血症に対しては、ECMO(体外式膜型人工肺)と呼ばれる治療が選択されることもあるよ。

肺炎の合併症

肺炎は、早期に治療が開始されれば多くは回復が見込めるんだけど、重症化したり、患者さんの基礎疾患や高齢などの要因が重なったりすると、さまざまな合併症を引き起こすことがある。ここでは、代表的な合併症を紹介するよ。

  • 敗血症/敗血症性ショック
    肺炎の菌が血液に入り全身に炎症が広がる。重症化すると血圧低下や多臓器不全を起こすこともある。
  • 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
    強い肺の炎症で肺胞が障害され、酸素を取り込めなくなる重度の呼吸不全。人工呼吸管理が必要となる。
  • 肺膿瘍/肺化膿症
    肺内に膿がたまる状態。誤嚥や嫌気性菌の関与が多く、長期の抗菌薬やドレナージが必要になる。
  • 胸膜炎/膿胸
    炎症が肺の外側(胸膜)に広がることで胸水や膿がたまる。重症例では胸腔ドレナージを行う。
  • 薬剤耐性菌の出現・蔓延
    広域抗菌薬の乱用で、本来の抗菌薬が効かない耐性菌が増加。治療選択肢が限られる原因となる。
  • 結核の診断遅延
    呼吸器キノロン系薬の使用で一時的に症状が改善し、本来の結核の診断が遅れることがある。

肺炎は呼吸器症状だけでなく、全身に関わる合併症を引き起こす可能性がある病気。特に高齢者や基礎疾患のある患者さんでは、早期の変化に気づき、予防的な対応をとることが重要だよ。

肺炎患者の看護

肺炎の急性期には、咳や発熱、呼吸困難といったつらい症状が見られる。だから、まずは患者さんの体力消耗を防ぎ、症状を和らげる看護を提供しよう。

安静とADL介助

肺炎の急性期は、発熱や呼吸困難によって体力が著しく消耗するよ。症状が落ち着くまでは、休息を確保するようにし、適宜日常生活の援助を行おう。

  • ベッド上安静時には、体位変換や清潔ケアを行い安楽に過ごせるよう環境を整える。安静による褥瘡の予防にも配慮する。
  • トイレ・食事・更衣など、必要に応じてADLの援助を行う。
  • 口腔ケアや嚥下機能の観察・介入をし、誤嚥性肺炎を起こさないよう注意する。
  • 廃用症候群を防ぐため、症状に応じて無理のない範囲で、離床を意識したケアを提供する。

呼吸を楽にするケア

呼吸状態に応じ、ケアや酸素療法を取り入れ、苦痛症状を緩和させるケアを心がけよう。

  • セミファーラー位や側臥位など、呼吸がしやすい安楽な体位を提供する。
  • 水分摂取・加湿・咳嗽介助・体位ドレナージなどを活用し、喀痰を促すケアを行う。
  • 自力で排痰できない患者さんの場合は、窒息を防ぐために適宜吸引を行う。
  • 酸素療法中は、酸素の流量、マスクの装着、皮膚トラブルに注意し、患者さんにとって適切な酸素飽和度を目指す。酸素の過剰投与にも注意が必要。

酸素療法の詳しい解説はこちら👈

症状の緩和に向けたケア

発熱や咳、食欲不振などのつらい症状を和らげ、少しでも快適に過ごせるよう工夫しよう。必要時には適切な薬剤投与を行うよ。

  • 発熱時は、冷罨法や解熱剤を使用し、その後の効果や副作用まで観察する。
  • 咳症状により不眠がある場合には、頭を高くする、こまめな水分補給を促すなど、楽に過ごせるよう環境を整え、ゆっくり療養できるようにする。
  • 食欲が低下している患者さんへは、一回量を少なくし補食をすすめたり、高栄養の食事やゼリー・スープなど食べやすい食事の提供を検討する。
  • 苦しさを訴える声に耳を傾け、安心できる声かけや関わりを心がける。

急変への備え

肺炎は、時に急激に悪化することがある疾患。特に高齢者や基礎疾患のある患者さんでは、そのリスクが高まるよ。異常を感じた場合には、同僚や医師へ報告・相談し、急変のサインを見逃さないようにしよう!

  • 呼吸数・SpO₂・血圧・体温などのバイタルサインをこまめに測定し、経過を観察する。
  • 混乱、せん妄、ぼんやりした様子など、意識レベルや表情の変化にも注目し、急変のサインを見逃さないように。
  • 異常に気がついたらすぐにチームメンバーや医師へ報告・相談し、アセスメントと急変時の準備をする。

肺炎を振り返ってみるよ!

「肺炎」解説記事のまとめ
  • 肺炎は、何らかの病原体が原因で、肺胞に炎症が起こる病気のこと。
  • ガス交換に障害が生じ、呼吸困難や酸素の取り込みがうまくできなくなる。
  • 治療は抗菌薬を使用した薬物療法が中心。
  • 敗血症、ARSDといった重篤な合併症を引き起こす可能性がある。
  • 症状が強い時には、ADLの介助や安静の維持も大切。しかし、経過に合わせて離床を促し、寝たきりにならないよう注意が必要。

高齢の方は、数日の寝たきり状態でもADLが下がってしまうよね…。合併症を理解してケアすることで、できるだけ元通りのADLで元気に退院してもらえることに繋がるんだね!
病気そのものだけでなく、生活にも目を向けていきます!

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