
胸腔ドレーン


胸腔ドレーンが入っている患者さんって、担当になるとすごく緊張するんです…!

緊張感を持ってケアできているのはいいことだね!胸腔ドレーンは呼吸に関わる大切なものだからね。
胸腔ドレーンの基本から見直してみよう!
解説記事で学べること!
胸腔ドレーンの目的や適応疾患
胸腔ドレーンは、胸腔内に溜まった空気や液体を外に出して、肺がしっかり広がるようにするためのチューブだよ。
胸腔は、ふだんは「薄い膜同士が軽くくっつくくらいの陰圧(すこし吸い込まれる圧)」になっていて、これが肺を自然に広げる働きをしているんだ。でも、そこに空気や液体が入ると陰圧が壊れて、肺がつぶれてしまう…。それを改善するのが胸腔ドレーンの役目なんだ。
胸腔ドレーンの主な目的
胸腔ドレーンを挿入する目的には、以下のものがあるよ。
- 排気
気胸では胸腔内に空気が入り、肺が縮んでしまうから、胸腔ドレーンで空気を逃がして肺の再膨張を促す。 - 排液
胸水や血液、膿がたまると肺が圧迫されて呼吸が苦しくなるから、それらを体外へ排出して胸腔内圧を整える。 - 胸腔内の陰圧を回復させる
胸腔が本来の「陰圧」に戻ることで、肺が自然に広がりやすくなる。胸腔ドレナージの中でもとても重要な役割。 - 症状の改善
胸腔内の圧が高くなると胸部圧迫感や呼吸困難、縦隔偏位などが起きるため、ドレーンで圧を整えて症状を軽くする。 - 術後管理
胸部手術後は胸腔に空気や血液が入りやすいため、エアリークや出血の早期発見、肺の再膨張の確認などに胸腔ドレーンが必要になる。
胸腔ドレーンが必要となる疾患・場面
胸腔ドレーンの適応となるのは以下の状態のときだよ。
- 気胸
胸腔内に空気がたまり肺がしぼむ状態。自然気胸・外傷性・医原性などがあり、肺の再膨張のために排気が必要な状態。とくに緊張性気胸は縦隔偏位やショックを起こすため、緊急ドレナージが必要。 - 血胸
胸腔内に血液がたまる状態。外傷や術後に起こり、出血量の把握と圧迫解除のために排液が必要。 - 胸水貯留
肺炎、がん、心不全などで胸水が増えることがあり、肺の圧迫を解除するためのドレナージや、胸水の検査目的で行うこともある。 - 膿胸
感染で胸腔内に膿が溜まった状態。抗菌薬だけでは改善しにくく、膿の排出が治療の中心となる。 - 胸部手術後の管理
肺切除後などは胸腔内に空気や血液が入りやすく、エアリークの有無や出血の早期発見のために胸腔ドレーンが必要。

胸腔ドレーンを入れる目的を理解しよう!観察ポイントも見えてくるよ。
胸腔ドレーンの構造や仕組み

機械の観察もしなきゃいけないので、観察項目がたくさんで混乱します…!
胸腔ドレーンの装置って、複雑に見えるけど、「排液」「水封」「吸引調整」の3つの部屋でできているだけなんだ。まずはこの仕組みをしっかり理解しておくと、観察やトラブル対応がぐっと分かりやすくなるよ。
胸腔ドレナージシステムの基本
胸腔ドレナージは、昔から使われている3連ボトルシステムが基本になっていて、
- 排液室
- 水封室
- 吸引圧制御室
の3つがそれぞれ別の役割を持っているんだ。
胸腔内はもともと“軽い陰圧”になっているから、外気が入り込まないように低圧持続吸引をつなぐよ。だいたい−8〜−15cmH₂Oくらいの圧で管理することが多いんだ。

排液室
胸水・血液・膿など、胸腔から排出されたものを溜める部屋だよ。排液量や性状を見るときは、ここを観察しよう。
水封室
水封室には、滅菌蒸留水を入れることで“水の弁”になっていて、胸腔から出る空気は通すけど、外から空気が逆流するのを防ぐ働きがあるんだ。気胸の治療ではとても重要で、ここに見える気泡(バブリング)や水面の上下動(呼吸性変動)で、胸腔の状態をアセスメントするんだよ。水封水の高さが一定でないと機能しないから、蒸発や水量不足にも注意が必要だね。
吸引圧制御室
胸腔にかける陰圧の強さを調整する部屋だよ。水の高さ自体が“吸引圧”になる仕組みで、水量が変わると設定圧も変わってしまうんだ。陰圧がかかりすぎるのを防ぐ、安全装置のような役割もあるよ。
水封式サイフォン法
吸引を使わないときは「サイフォン法」っていう方式もあるよ。これは、胸腔ドレーンと排液バッグの高さの差を利用して排液する方法で、受動的ドレナージとも呼ばれる。
仕組みは、胸腔内圧が水封圧より高くなったときにだけ、空気が排出されるというもの。吸引を使わないぶん、高さの管理がとても重要なんだ。
デジタル胸腔ドレナージシステム
近年は、胸腔内圧やエアリークを数値で表示できるデジタル式胸腔ドレーンも登場しているよ。エアリークの程度を客観的に判断できたり、抜去の基準が統一できたりするメリットがあるんだ。

大きい病院や呼吸器外科が多い施設では、導入されてきているよ。
もちろん、バッテリー切れや故障など、機械式ならではの注意点もあるね!
胸腔ドレーン挿入の手順
胸腔ドレーンの挿入は、医師が中心になって行う処置だけど、看護師の介助や観察がとても大事なんだ。挿入の流れを掴んでおくと、処置がスムーズに進むし、合併症の予防にもつながるよ。
特に緊張性気胸の場合など緊急対応が必要な場面もあるから、今のうちにイメトレしておこう!
挿入に必要な物品の準備
胸腔ドレナージには、清潔操作が必須。準備する物品をあらかじめセットしておくと、処置が安全に進むんだ。
- 清潔物品:滅菌手袋、滅菌ドレープ、ガウン、キャップなど
- 局所麻酔:キシロカイン、23G針、10mLシリンジ
- 挿入器具:トロッカーカテーテル、メス、鑷子、ペアン、コッヘル、布鉗子
- 固定材料:マーカーペン、固定糸、滅菌ガーゼ
- ドレナージ装置:胸腔ドレーンチューブ、水封室付きドレナージボトル、吸引装置

施設のマニュアルを必ず確認しておこう!
患者の体位とモニタリング
基本は仰臥位で、必要に応じて患側の腕を挙上して視野を確保するよ。大量胸水の場合は、胸水を下に溜めないよう「患側を上」にすることもあるから、医師に確認しておこう。
挿入中はモニターを装着して、SpO₂や心拍数を常に観察できるようにしておくよ。患者さんへの説明や声かけも忘れずにね。
挿入手技の流れ
①皮膚消毒とドレーピング
- 広範囲にしっかり消毒し、穴あきドレープで清潔野を作る。
- 看護師は清潔と不潔の境界を常に意識して介助するのが大切。
②局所麻酔(皮膚〜胸膜)
- 皮膚に膨疹ができるように麻酔を入れる。
- 縫合を予定している範囲まで広めに麻酔する。
- 麻酔が効くまで少し時間がかかるので、その間に物品の再確認をしておこう。
③胸膜麻酔(仮穿刺)
- シリンジを垂直に刺し、軽く陰圧をかけながら胸膜まで進める。
- 針先が胸腔に入ると、胸水(液体)や空気が引けてくる。
- 深く刺しすぎると肺を傷つける可能性があるため、医師の手元をよく見てサポートする。
- 挿入中に患者さんが、痛みを訴えたり、SpO₂が下がるようなら臓器損傷の可能性もあるよ。異常があれば、声に出して医師へ伝えよう。
④皮膚切開と組織の剥離
- 皮膚切開は肋骨の上縁で行う。(下縁には血管・神経が走っているため)
- 穿刺にはペアンを使用する。
- 痛みの有無やバイタルの変化を観察しよう。
⑤ドレーンの挿入
- 気胸なら腹側・胸水なら背側に向けて挿入する。
⑥挿入位置の確認
- 胸水:水が返ってくる(リターン)ことで位置を確認。
- 気胸:ドレーン内の曇り(Fogging)や空気の音で確認。
⑦ドレナージ装置への接続と固定
- 接続部を消毒して、清潔にボトルへ接続する。
- 抜けないようにしっかり縫合固定し、刺入部と離れた位置の二重固定で安定させる。
- 固定が不十分だと抜去事故につながるため、しっかりとテープ固定を行う。
※施設や病棟毎ごとに固定のマニュアルがあるはずだから、必ず確認!
⑧X線での位置確認
- 目的位置に正確に入っているか、折れ曲がっていないかを確認する
処置によるリスクのサイン
患者さんに以下の変化が起こったらすぐに処置が必要かもしれないから、注意して観察しよう!
・急な疼痛、SpO₂低下、出血→臓器損傷のリスク
・急激な大量排液→再膨張性肺水腫のリスク

挿入の介助をしていると、手技のサポートに気を取られやすいけど、患者さんの訴えや観察が疎かにならないようにね!
胸腔ドレーン留置中の観察と看護
胸腔ドレーンが入っている患者さんの観察は、排液・圧変動・固定・皮膚・痛み。この5つを意識してチェックすれば、トラブルを早く見つけられるよ。
排液の観察(量・性状)
排液量
術後すぐは200〜500mL/日くらいの排液が出ることもあるけれど、時間が経つと少しずつ減っていくのが普通だよ。
ただし、急激に血性排液が増える場合は危険サイン。
- 術後:200mL/時以上
- その他:100mL/時以上
こんな数値が出たら、動脈性出血の可能性があるから、すぐに医師へ報告しよう。
抜去の目安は、一般的には24時間で200mL未満かつエアリークがないことだよ。
排液の性状
術後は血性→淡血性→漿液性(淡黄色)に変化していくよ。
- 濁っている・膿っぽい→感染の可能性
- 再び血性に戻る→出血再開の可能性あり(要注意)
性状の変化は何かが起こっているサインだよ。観察・記録・報告を忘れずに!
水封室の観察
呼吸性変動(フルクテーション)
水封室の水面が呼吸に合わせて上下しているかを見るよ。
変動がなくなった場合は、以下の可能性があるよ。
- ドレーンの閉塞
- 屈曲
- 肺の再膨張
- 先端が胸壁などに接している
体位によるドレーンの閉塞や屈曲は、こまめにチェックしようね。
エアリーク(バブリング)
水封室に泡が出るのは、胸腔から空気が排出されている、つまり肺にまだ穴が空いているサイン。持続的か断続的かを必ず確認しよう。
エアリークが急に強くなった場合は、以下のものが疑われるよ。
- 肺瘻の悪化
- 気胸の進行
- ドレーンの接続不良
エアリークが強くなったら、呼吸状態や排液の性状の変化を確認。接続のチェックを行おう。
反対に、エアリークがあったのに急になくなった場合にも注意が必要だよ。
- 肺が再膨張(気胸が改善)してエアリークが減少しているのか
- ドレーンの屈曲や胸壁への接触、閉塞によって一時的に空気が出てこなくなっているのか
エアリークが消えたときには、どちらかの可能性が考えられるんだ。まずは、水封室の呼吸性変動、排液量、呼吸状態の変化、ドレーンの走行や固定状態を再度確認しよう。
吸引圧の管理
吸引圧制御室の水量が適切かどうか確認しよう。水は蒸発しやすいから、量が変わると設定した陰圧にならないんだ。
吸引圧が弱かったり強すぎたりすると、肺の再膨張に影響するから、必ず各勤務ごとにチェックしてね。
ドレーンの閉塞
排液が急に少なくなったらまずはドレーンの閉塞を疑おう。粘りの強い排液(フィブリン・凝血塊)が詰まっていたり、屈曲や圧迫で流れが止まっていることがあるよ。
閉塞が続くと胸腔内圧が上がって、緊張性気胸につながることがあるから早く発見することが大切。

ミルキングは閉塞予防に使うことがあるけど、ルーチンでやることは推奨されていないんだ。必要な場面だけ行おうね。
刺入部・固定部・皮膚の観察
固定状態
- ドレーンが引っ張られてないか
- テープが剥がれてないか
- ドレーンの屈曲やねじれがないか
しっかり固定されていないと、抜けたり位置ずれを起こす原因になるよ。
皮膚の状態
- 刺入部の発赤、腫脹、熱感、疼痛
- 滲出液や出血
- テープによる皮膚障害
皮膚が弱い患者さんには、保護剤やフィルムを使って皮膚トラブルを起こさないよう対策しておこう。
疼痛のアセスメントとケア
胸腔ドレーン挿入中は、刺入部痛、体動時の痛み、ドレーンの張りつきによる痛みなどが起きやすいよ。強い痛みがある場合は、肺の損傷が進んでいる可能性もあるから注意しよう。
痛みが強いと深呼吸がうまくできず、無気肺や肺炎につながるから、疼痛コントロールはとても大切なんだ。NRSやFSなどを使いながら、定期的に痛みの評価をしていこう。

痛みを軽くしてあげることは、合併症を防いだり、リハビリをできるだけ進める意味でも大切なポイントだよ。
胸腔ドレーンの合併症とトラブル対応
胸腔ドレーンによる合併症やトラブルはいち早く気が付くことが大切。胸腔ドレーン挿入中に、特によく起こるトラブルと、そのときどう動くかを整理していこう。
皮下気腫(サブキューテーマ)
肺や挿入部から空気が皮下に漏れてたまる状態だよ。触ると握雪感(あくせつかん)といって、ぎゅっぎゅっとした雪をつかんだような感触があるのが特徴。
見つけたらマーキングして範囲が広がっていないかを観察しよう。急に拡大したり、頸部まで広がって呼吸が苦しそうなら、気道や血管が圧迫されている可能性があるよ。すぐに報告しよう!
再膨張性肺水腫
急激に胸水を抜くと起きることがあるから注意だよ。虚脱していた肺が急にグッと広がることで、血管から水分が漏れ出し、肺水腫になるんだ。
再膨張性肺水腫を起こすと、呼吸困難、SpO₂低下、血圧低下といった症状が表れるよ。
予防として、一度に排液する量は1Lまでにすること。一定の排液量や時間でクランプするように、指示が出されていることもあるよ。発生した場合は、バイタルの確認、必要に応じて酸素投与を開始し、医師へ即報告してね!
感染・逆流によるトラブル
刺入部感染
- 刺入部の発赤、腫脹、熱感、排膿などを確認する
- ドレッシング交換の際は、清潔操作を徹底する
- 強い痛みは、感染のサインの可能性もあるため、痛みの観察が重要
逆行性感染
ドレーンボトルが転倒すると、逆流して胸腔に汚染液が戻る可能性があるよ。
- ボトルは満杯になる前に交換する
- 転倒しないように配置や動作に注意する
- 患者さんにリスクを説明し、動く際の注意事項を伝えておく
ドレーンの抜去事故・自己抜去
患者さんが動いた拍子にドレーンが抜けてしまうこともあるよ。固定はこまめにチェックしよう。抜けてしまった場合、胸腔内の陰圧に引っ張られて刺入部から空気が入り込み、肺が再び虚脱する危険があるんだ。
抜けてしまったときの対応は以下の通り
- 刺入部をガーゼやフィルムでしっかり密閉(できるだけ清潔でとにかく押さえる)
- すぐ医師に報告
テープの剥がれや縫合糸の緩みは早期に対処しよう。
ドレーン接続外れ・陰圧消失のトラブル
接続が外れたら、まずドレーンをクランプして空気が胸腔に入らないようにするよ。外れた接続部を消毒して、新しいドレナージボトルにつなぎ直す。このとき、水封室に蒸留水がきちんと入っているか確認しよう。
対処後は、なぜ外れたのか(固定不良・屈曲・動作中の牽引など)原因を検索し、同じトラブルが起こらないよう対策しよう。
クランプ操作の注意点
クランプは、気胸やエアリークがある患者さんには原則禁止!クランプすると、肺から漏れた空気の逃げ場がなくなり、肺が押しつぶされてしまうんだ。
クランプしていい場面は、最小限にしよう。
- ドレーン交換時
- 抜去の直前(つまり気胸が改善しているとき)
- 医師の指示

意識がなくて動けない患者さんから、ドレーンを持ち歩いて生活する患者さんもいますもんね。
一人ひとりに合わせたケアが大切なんですね。

胸腔ドレーンを振り返ってみるよ!
「胸腔ドレーン」解説記事のまとめ
- 胸腔ドレーンは、胸腔内の空気や液体を排出して陰圧を整え、肺の再膨張や術後管理に役立つ。
- 装置は「排液・水封・吸引調整」の3室で構成されており、それぞれが排液、空気の逆流防止、陰圧調整という役割を持つ。
- 挿入時は、物品準備・体位・清潔操作・挿入介助・固定・X線確認までを流れでつかみ、急な疼痛やSpO₂低下などのサインに注意する。
- 留置中は「排液ボトル・水封ボトル・吸引圧・固定状況・疼痛」を中心に観察する。
- さらに「排液量・性状・呼吸性変動・エアリーク」も常に観察しアセスメントする。
- 皮下気腫、再膨張性肺水腫、感染、自己抜去、接続外れなどのトラブルは、早く気づいて適切に対応することが安全管理につながる。

“なんとなく不安”が“見ればいいポイント”に変わりました!次からはもう少し落ち着いてケアできそうです。


