
脳室ドレナージ


教科書で勉強はしたんですけど、実際に脳室ドレナージを見ると、触っていいのか、動かしていいのか分からなくて怖いです。
クランプの操作ひとつで、患者さんに影響が出そうで……。

その感覚、すごく大事だよ。脳室ドレナージは扱いが重要なデバイスだから「怖い」「慎重になる」っていう気持ちは間違いじゃないよ。
不安を軽くするためにも、観察ポイントや相談するタイミングを整理していこう。
解説記事で学べること!
脳室ドレナージとは

脳室ドレナージ(EVD/CVD)は、脳の中にある「脳室」にカテーテルを入れて、脳脊髄液(CSF)や血液を体の外へ出す治療!
頭の中の圧(頭蓋内圧:ICP)が急に高くなったとき、脳を守るために行われる大切な治療だよ。

脳室ドレナージの目的
脳室ドレナージの主な目的は、次のようなものだよ。
- 髄液を排液する
- 頭蓋内圧(ICP)を下げてコントロールする
- 頭蓋内圧の変化を評価する
- 脳室内にたまった血液を排出する
- 必要に応じて、抗生剤や抗がん剤などの薬剤を脳室内に投与する
特に急性期では、ICPの上昇を放置すると脳障害につながるため、早期に脳室ドレナージが行われることが多いんだ。
適応となる主な疾患
脳室ドレナージが行われる代表的な疾患は、次のとおりだよ。
- 脳室内出血・くも膜下出血
- 脳室内にたまった血液を外へ出す
- 血管攣縮(スパズム)を予防する
- 二次的な水頭症を防ぐ
- 水頭症
- 脳腫瘍などで髄液の通り道がふさがれた場合
- 髄液の吸収がうまくいかず、急激に脳室が拡大した場合
- 小脳梗塞
- 水頭症を合併し、意識障害がみられる場合
「脳室が広がる=脳が圧迫される」状態なので、早めの対応が必要になるんだね。
脳脊髄液(CSF)と頭蓋内圧(ICP)の関係
脳脊髄液は、側脳室で1日に約500mlつくられていて、脳や脊髄のまわりを循環しながら吸収されているよ。
脳室ドレナージは、設定された圧よりも頭蓋内圧が高くなった分だけ、髄液が自然に流れ出る仕組みなんだ。無理に吸い出しているわけではなく、「圧が高くなりすぎないように、あふれた分だけ逃がす」というイメージだね。
管理が重要になる理由
脳室ドレナージは、とても効果的な治療だけど、出しすぎ(オーバードレナージ)は危険なんだ。
排液が多くなりすぎると、以下のようなリスクがあるよ。
- 頭の中の圧が下がりすぎる(低髄圧)
- 脳室が縮みすぎる
- 脳室周囲の出血や硬膜下血腫を起こす
これらが起こると、脳が本来の位置から引っ張られ、頭痛や意識障害、出血などの重い症状につながることがあるんだ。だから脳室ドレナージでは、「ちゃんと出ているか」だけでなく、「出すぎていないか」を常に意識して管理することがとても大切だよ。
脳室ドレーンの構造や仕組み
脳室ドレーンには、大きく分けて開放式(半閉鎖式)と閉鎖式の2種類があるよ。
閉鎖式は、回路が密閉されていて、トランスデューサーを使って連続的に頭蓋内圧(ICP)を測定する方法なんだ。一方で、実際の臨床現場でよく使われているのは、排液管理を目的とした開放式(半閉鎖式)だよ。
この章では、看護師が関わる場面の多い開放式ドレーンについて、構造と仕組みを整理していくね。
開放式ドレナージ回路の構造と排液の原理
開放式の脳室ドレナージは、脳室内と外界が直接つながっている構造をしているんだ。
回路は主に、以下のもので構成されているよ。
- 脳室内に留置されるカテーテル
- 排液量を目で確認できるドリップチャンバー
- 大気圧を取り込むためのエアフィルター
- 髄液がたまる排液バッグ
- 回路の途中にある複数のクランプ
脳室ドレナージは、吸引して髄液を引き出す治療ではなく、設定した高さ(圧)を頭蓋内圧が超えた分だけ、髄液が自然に流れ出る仕組みになっているよ。
重力やサイフォンで無理に引き出す治療ではない、という点はしっかり押さえておこう。
高さ設定(0点設定)とクランプ操作の基本
開放式ドレナージでは、高さ設定=圧の設定になる。
基準となる0点は、外耳孔だよ。
外耳孔から、ドリップチャンバー内の排液部(ディスク)までの垂直距離(cmH₂O)が、そのまま設定圧になるんだ。だから、体位変換やギャッジアップ、ベッドの高さ調整で、簡単に0点がずれてしまい、圧設定が変わってしまうよ。
わずかな動作であっても、ずれるリスクがあるから、一時的にドレーンをクランプするのが基本ルールだよ!
開放の順序とサイフォニング現象への注意
脳室ドレナージでは、クランプ操作の順番を間違えるとサイフォニング現象が起こることがあるんだ。サイフォニング現象とは、本来は設定した高さ(圧)で調整されるはずの排液が、バッグとの落差によって勝手に引き出されてしまう状態のことだよ。
エアフィルターから大気圧がうまく取り込めない状態で回路を開放すると、回路内が陰圧になり、ストローのように髄液が引っ張られて一気に排液される。その結果、急激なオーバードレナージを起こし、低髄圧や出血につながる危険があるんだ。
だからこそ、クランプの操作では「閉める順番」「開ける順番」が重要なんだ。
クランプを閉める手順
体位変換や移動、吸引などで一時的にドレーンを閉鎖する場合は、患者側から順に閉めるのが基本だよ。
- 患者側に最も近いクランプ
- 排液側のクランプ
- チャンバー上のフィルタークランプ
先に患者側を閉めることで、脳室と回路を切り離し、安全に操作できるんだ。
クランプを開ける手順
再開放するときは、サイフォニング現象を防ぐために必ず順番を守ることが重要だよ。
一般的に推奨されている開放の順序は、
- チャンバー上のフィルタークランプ
- 排液側のクランプ
- 患者側に最も近いクランプ
先にフィルター側を開けて大気圧を回路内に取り込むことで、落差による強い吸引が起こるのを防ぐようにするんだ。

脳室ドレナージの操作では、「急がない」「順番を守る」これが安全管理の基本だよ。
脳室ドレーンの管理の実際
脳室ドレーンの管理では、固定・圧の見方・排液の観察をセットで行い、「異常を早く見つける」ことが大切だよ。
固定と回路管理の基本
脳室ドレーン管理でまず大切なのは、事故抜去を防ぐことなんだ。
脳室ドレーン挿入中は以下の状態に注意が必要だよ。
- 意識障害
- 不穏
- 体動
思わぬ拍子に抜けてしまうリスクがあるから、
- ドレーンはループを作って固定する
- テープがしっかり貼れているかをこまめに確認する
これらを徹底しよう!
特に脳室ドレーンは、髪の毛でテープが剥がれやすい。固定部が浮いていないか、ズレていないかは毎回チェックしよう。
あわせて、回路全体も確認する。
- チューブがねじれていないか
- 折れ曲がり(キンク)がないか
- ラインが身体の下に敷き込まれていないか
排液が出ないときは、まず「回路を見る」が基本だからね。抜去・閉塞がないかまずチェックしよう。
設定圧と実測圧(ICP)の見方
脳室ドレーンでは、設定圧と実測圧を分けて考えることが大切なんだ。
設定圧は、医師の指示に基づき、「外耳孔を0点」として「ドリップチャンバーの高さ」で決めるよ。
水頭症の管理では15cmH₂O前後が目安になることが多いけれど、出血の急性期では頭蓋内圧の急激な上昇を避けるため、より低めに設定されることもある。
一方、実測圧は、ドレーンを一時的にクランプしたときに、回路内の液面が0点から何cmH₂Oの高さにあるかで判断する。
- 設定圧:どこから排液を始めるか
- 実測圧:今、頭の中がどれくらいの圧か
この違いを意識できると、管理が一気に分かりやすくなるよ。
さらに、設定圧が変更されたときには、その意図を考えることも大切なんだ。
たとえば、設定圧が上げられた場合は「これ以上排液させたくない」「低髄圧を避けたい」という判断が背景にあることが多い。一方で、設定圧が下げられた場合は「もう少し頭蓋内圧を下げたい」という目的で調整されていることが考えられるよ。
設定が変わったときには、「なぜ今、この圧にしたのか?」と考えるクセをつけると、医師の意図が理解しやすくなり、より安全に脳室ドレーンを管理できるようになるよ。
排液量・性状・拍動のアセスメント
脳室ドレーンでは、排液を「量・性状・拍動」の3点で見るのが基本だよ。
排液量
脳脊髄液は、1日に約500ml産生されている。そのため、1日の排液量がこれを大きく超えていないかを確認しよう。
特に、1時間に20mlを超える排液がみられる場合は、ICP上昇やオーバードレナージを疑って注意する必要があるよ。
排液の性状
- 無色透明
- 淡黄色
- 淡血性
- 血性
など、色調の変化を観察するよ。また、混濁や浮遊物があれば、感染の可能性も考えられるため、感染兆候も観察しよう。
拍動の確認
回路内の液面が、心拍・呼吸に合わせて上下しているかを見るよ。この拍動が消失している場合は、閉塞の可能性があるため要注意だよ。

排液が出ていると安心しがちだけど、それだけで判断しないことが大事だよ。
脳室ドレナージ中の患者の看護
脳室ドレナージ中はドレーン管理だけでなく、全身状態の観察や合併症予防のためのケア、患者さんや家族の不安に寄り添った関わり方が大切だよ。
全身状態・神経所見の観察
脳室ドレナージ中は、ドレーンの状態だけでなく、脳疾患患者としての全身状態や神経所見を継続して観察することが大切なんだ。
- GCS/JCSを用いて意識レベルを評価し、経時的に観察する
- 頭痛や嘔気・嘔吐の有無を確認する
- 痙攣の出現や増悪がないかを観察する
- 痙攣がある場合は、指示薬の確認と、痙攣中の観察、対応方法のシュミレーションをあらかじめ行っておく
- 血圧・脈拍・呼吸などバイタルサインの変動をこまめに確認する
- 排液量や性状の変化と、患者の症状をあわせて評価する
清潔ケア・口腔ケアと感染予防
脳室ドレーンは脳と外界が直接つながるため、清潔ケアと口腔ケアは感染予防の要になるんだ。
- 刺入部を清潔に保ち、発赤・腫脹・疼痛の有無を観察する
- 刺入部からの髄液漏れ(滲出)がないかをこまめに確認する
- 滲出がある場合は、速やかに報告し、無菌操作で対応する
- 回路や接続部を不必要に触らないよう注意する
- 意識障害や嚥下機能低下を考慮し、定期的に口腔ケアを行う
- 誤嚥性肺炎の予防を意識して口腔内の清潔を保つ
体位変換・移動・リハビリ時の看護
体位変換や移動は必要なケアだけど、脳室ドレーン管理では常にICP変動のリスクを意識することが重要だよ。
- 体位変換やギャッチアップの前は、ドレーンを一時クランプする
- ベッドの高さや角度変更後に、外耳孔を基準に0点を合わせ直す
- 移動時はすべてのクランプを正しい順番で閉鎖する
- ドリップチャンバーが設定圧より高い位置にならないよう注意する
- 処置後にクランプの開放忘れがないかを確認する
- 複数人でダブルチェックを行い、安全にドレナージが実施できているか確認する
患者・家族への説明と心理的ケア
脳室ドレナージ中は患者さんは意識障害が強いことも多く、家族への説明と心理的ケアも看護の大切な役割になるんだ。
- 患者さんへの説明が難しい場合は、家族を中心に説明する
- 脳室ドレナージの目的や必要性を分かりやすく伝える
- 安静や行動制限が必要な理由を丁寧に説明する
- 体動や興奮がICP上昇や事故抜去につながる可能性を共有する
- 不安や疑問を傾聴し、家族の気持ちに寄り添う
- 必要に応じて鎮静を行うこともあるが、安全のためであると説明する
- 行動制限が必要な場合は、施設の医療安全マニュアルに従い、同意書の記載を依頼する
- 鎮静は「抑えるため」ではなく、「脳を安静に保ち守るため」の治療であることを伝える
合併症とトラブル対応
脳室ドレナージでは、合併症やトラブルを早く察知し、状況に応じて適切に対応することが、患者さんの安全を守るうえでとても重要なんだ。
感染(髄膜炎・脳室炎)
脳室ドレーンは脳と外界が直接つながる状態になるため、感染は最も注意すべき合併症のひとつなんだ。
回路や接続部は常に清潔に取り扱い、不必要に開放しないことが基本だよ。
また、刺入部は以下の項目をこまめにチェックしよう。
- 発赤や腫脹
- 疼痛の有無
- 髄液漏れ(滲出)
そのほか、発熱や意識レベルの変化、髄液の混濁にも注意しよう。
感染が疑われる場合は、看護師の判断で安易にクランプはせず、速やかに医師へ報告することが大切だよ。また、留置期間が長くなるほど感染リスクは高くなるため、原則7日以内が望ましいとされているよ。
閉塞
排液が急に出なくなったり、回路内の拍動が消失したりした場合は、ドレーンの閉塞を疑う必要があるよ。
まずはチューブの折れ曲がりやねじれ、ラインが身体の下に敷き込まれていないかなど、回路全体の状態を確認する。
それでも改善しない場合は、速やかに医師へ報告しよう。状況に応じてミルキングなどの対応が検討されることもあるけれど、必ず指示のもとで行おう。
過剰排液(オーバードレナージ)
脳室ドレナージでは、排液が多すぎることも大きなリスクになるんだ。設定圧が適切かを確認し、1時間に20mlを超えるような急激な排液増加がないかを観察しよう。
- サイフォン現象が起きていないか
- エアフィルターが濡れていないか
- フィルタークランプの閉め忘れがないか
これらの確認も重要だよ。
オーバードレナージすると、低髄圧による頭痛や意識変化、出血のリスクがあるため、症状や出血の有無も観察しよう。
出血
脳室ドレナージ中は、脳内で出血が起こり、排液に血液が混じることがあるよ。排液の性状が淡血性から血性へ変化した場合は、意識レベルの悪化や頭痛、嘔気などの症状が出ていないかをあわせて確認しよう。
排液バッグ・フィルター汚染時の対応
排液バッグやフィルターの汚染は、感染やオーバードレナージにつながるトラブルなんだ。
排液バッグは満杯になる前から量を確認し、交換が必要な場合は接続部を消毒したうえで無菌操作でバッグごと交換するよ。
また、エアフィルターが髄液で濡れると通気ができなくなり、サイフォン現象を引き起こす原因になる。そのため、フィルターの汚染に気づいたら医師へ報告し、必要に応じて回路交換を行おう。
トラブル発生時の基本行動
脳室ドレーンに「いつもと違う」と感じる変化があったときは、落ち着いて患者さんの安全を最優先に行動することが大切なんだ。
- ドレーンをクランプして状況を止める
- 患者さんの状態を確認する
異常があれば、まずこの行動をとろう。

迷ったときは一人で抱え込まず、すぐに相談しよう!

脳室ドレナージを振り返ってみるよ!
「脳室ドレナージ」解説記事のまとめ
- 脳室ドレナージは、髄液や血液を排出しながら頭蓋内圧をコントロール・評価するための重要な治療
- 開放式ドレナージは吸引ではなく圧(高さ)で排液される仕組みのため、0点設定とクランプ操作が安全管理の基本になる
- 脳室ドレーン管理では、固定・設定圧・排液(量・性状・拍動)をセットで観察し、異常を早く見つけることが大切
- ドレーン管理だけでなく、意識レベルや症状など患者全体を観察し、家族への説明や不安への配慮も看護の重要な役割

正直、怖い気持ちはまだあるけど…迷ったら一人で判断せず相談することが、患者さんの安全につながるんですね!


