
腸閉塞(イレウス)


腸閉塞ってイレウスと一緒ですよね…?
種類はいっぱいだし、治療と症状がなかなか結びつかなくて…。

覚えるポイントが多いから大変だよね!腸閉塞は種類や場所によって対応が変わるからしっかり分類できるようにしておこう。
腸閉塞について解説していくよ!
解説記事で学べること!
腸閉塞(イレウス)の病態

どんな状態かを理解することが大切だよ。
まずはイレウスの分類について復習していこう!

各分類の特徴
機械的イレウス
- 腸が物理的にふさがるタイプ
- 単純性閉塞:通過障害のみ。腸管の拡張や浮腫、分泌障害、脱水が進行する
- 絞扼性閉塞(=血行障害性イレウス):腸管の血流まで途絶え、数時間で壊死に進む危険あり。最も重症度が高い。腸が捻じれてしまう腸捻転もこの分類に含む。
麻痺性イレウス
- 腸の蠕動が止まることで通過できなくなるタイプ
- 原因:開腹術後、腹膜炎、敗血症、薬剤(麻薬など)
- 機械的イレウスと症状やX線所見が似ているため鑑別が難しいこともある
痙攣性イレウス
- 腸が異常に痙攣して通れないタイプ(まれなパターン)
- 例:鉛中毒、尿毒症、神経疾患など
腸閉塞とイレウスの言葉の違い

4つの種類ありましたね!思い出してきました。そもそもイレウスと腸閉塞って同じことですよね?
ただし日本の臨床現場では「イレウス=麻痺性腸閉塞」と使われることもある。逆に「腸閉塞=イレウス」と同義で使う施設や教科書もあるよ。

本来は同じ意味だけど、日本では“麻痺性イレウス”のことを、イレウスと呼ぶ場合があるんだ!

ここを間違えると混乱しちゃいそうですね…!
腸閉塞(イレウス)の症状

腸閉塞の症状は部位とタイプによって違いがあるんだよ。
部位による症状の違い
| 分類 | 主な症状 | ポイント |
| 小腸閉塞 | ・発症直後から臍周囲や心窩部の疝痛(けいれん性腹痛) ・嘔吐が早期から強く出やすい ・完全閉塞では便秘 ・放屁消失、部分閉塞では下痢を呈することあり | 症状が急激に出やすい。嘔吐が強く、脱水になりやすい |
| 大腸閉塞 | ・症状は緩徐に進行 ・強い便秘と腹部膨満 ・嘔吐は遅れて出現 (他症状が出てから数時間後) ・身体診察で大きな腹鳴を伴う膨満が典型的 | 症状がゆっくり進行。 膨満が目立ち、嘔吐は後から出やすい |
タイプによる症状の違い
| 分類 | 主な症状 | 特徴・ポイント |
| 機械性イレウス(単純性) | ・間欠性のけいれん性腹痛 (波のある痛み) ・腹部膨満 ・嘔吐(閉塞部位による) ・便秘/排ガス停止(完全閉塞)、下痢(部分閉塞) | ・典型的な腸閉塞の症状。 ・腸管が拡張し、時間とともに脱水や電解質異常を起こしやすい |
| 絞扼性イレウス(血行障害性) | ・持続する強い腹痛 ・圧痛や腹膜刺激症状 ・腸雑音の減弱 ・消失 ・嘔吐(進行で増悪) ・ショック徴候(頻脈・低血圧)、乏尿 | ・機械的イレウスが進行して腸の血流が途絶。 ・数時間で壊死に進むため最も危険。 ・緊急手術になることが多い |
| 麻痺性イレウス(機能的閉塞) | ・腹部膨満感 ・鈍痛や不快感(痙攣痛は目立たない) ・嘔気・嘔吐(軽度〜中等度) ・便秘/排ガス停止 ・腸雑音の減弱 ・消失 | ・術後や腹膜炎などで腸の動きが止まる。 ・痛みは強くなく、腹部の張りが中心 |
| 痙攣性イレウス | ・間欠的な激しい腹痛(周期的) ・嘔吐 ・嘔気 ・腹部膨満 ・便秘/排ガス減少 | ・まれ。 ・鉛中毒や神経疾患などで起こる。 ・腸管の痙攣によるため、痛みが断続的に出現する |

症状がいっぱい…!大切なサインを見逃しちゃいそうです…。

そうだよね。見逃してはいけない重要なサインを整理してみよう!
絞扼性イレウスのサイン
- 強い持続的な腹痛
- 腸雑音の減弱または消失
- 腹部圧痛や腹膜刺激症状
- 嘔吐(進行で悪化)
- ショック徴候(頻脈・血圧低下)、乏尿
- 腸捻転では突然の発症+仙痛(差し込むような痛み)

これらのサインは、腸管の血流が止まっている可能性が高い、緊急性のある症状だよ!
腸閉塞(イレウス)の検査

腸閉塞の診断は、問診や身体所見、画像検査を組み合わせて総合的に判断されるよ!
代表的な検査のポイントを整理していこう!
腹部X線検査
- 仰臥位と立位の単純X線で診断できることが多い
- 小腸閉塞の典型所見:拡張した小腸が“はしご様”に並ぶ像、立位での鏡面像(air-fluid level)
- 盲腸捻転:大きな気泡がコーヒー豆のように見える(coffee bean sign)
- 腸管壁内のガス(腸管壁内気腫像):壊疽のサイン
- 腸閉塞だけでなく、消化管穿孔、尿路結石、異物など幅広い診断に有用で優先度が高い
腹部CT検査
- 小腸閉塞が疑われる場合に広く用いられる
- 拡張した小腸、腸液やガスの貯留を詳細に描出できる
- 造影CTは絞扼性腸閉塞の診断に必須
・腸管壁の厚さや造影効果の有無
・腸間膜のうっ血や腹水の評価
・緊急手術が必要かどうかを早く正確に判断できる
超音波検査
- ベッドサイドで簡単に行える
- 腸管の拡張、内容液の貯留、蠕動の有無を観察できる
- 小児や妊婦、放射線を避けたいときなどにも有用
- 腸重積ではドーナツ様の像(target sign)が見られる
血液検査
- 血算・電解質・炎症反応(WBC、CRP、Na、K、Cl、Caなど)から全身状態の把握ができる
- 白血球増加やアシドーシス:絞扼が進行している可能性を評価できる
- 血液ガス分析:乳酸上昇、pH低下、BEの変化 → ショックや腸管虚血を疑う根拠になる

検査の見極めポイントをまとめたよ。
X線:腸閉塞の有無や典型的所見をつかむ
CT:閉塞部位や原因、絞扼の有無を詳細に評価
超音波:小児・妊婦、放射線を避けたいときやベッドサイドで有用
血液検査:全身の影響や重症度を把握(特に絞扼性のサイン)

たくさんの視点から確認することが大切なんですね…!
腸閉塞(イレウス)の治療

次は、腸閉塞の治療について解説していこう!
特に絞扼性イレウスのサインが見られたら、緊急に処置が必要だよ。
一般的支持療法
まずは全身状態を安定させるために、必要な処置を実施するよ。
- 経鼻胃管吸引:胃や腸にたまった内容物やガスを抜いて、腸管の負担を減らす
- 輸液管理:脱水や循環不全を補正するため、生理食塩水や乳酸リンゲル液を投与
→嘔吐が続くとNaやKの電解質が不足しやすいため、補正が重要 - 尿道カテーテル:尿量をチェックして循環動態をモニタリング
薬物療法(疼痛管理)
- 強い痛みがあるときでも、診断前から鎮痛薬を使うことが推奨されている
- アセトアミノフェンの静脈注射が基本
- 痛みが強ければモルヒネやフェンタニルなどの麻薬性鎮痛薬を追加
薬物療法(抗菌薬)
- 腸管虚血や壊死が疑われるときは、手術前に抗菌薬を投与
- 腹腔内感染が疑われるときは、血液培養を採取してから抗菌薬を開始する
- 敗血症性ショックを合併している場合は、来院から1時間以内に投与することが推奨される
外科的治療(機械的閉塞の解除)
腸閉塞が機械的に起こっている場合、保存的治療で改善しない場合など、絞扼が疑われるときには外科的治療が必要になるんだ。
手術の適応
- 保存的治療(胃管減圧や輸液)で改善しない
- 絞扼性イレウスや血行障害が疑われるとき(緊急手術の適応!)
- 癌などの腫瘍性閉塞
- 再発を繰り返す癒着性閉塞
手術の方法
- 原因の解除:癒着を剥がす、嵌頓ヘルニアを整復する、腫瘍や異物を除去する
- 腸切除+吻合:壊死や穿孔があれば切除し、健康な腸をつなぐ
- バイパスやストーマ造設:腸管が広範囲に障害されて吻合が難しい場合、迂回路をつくるために造設することもある

保存的に経過をみることもあるけど、絞扼性イレウスが疑われたら迷わず手術になるんだ。ストーマ造設が必要になる場合もあるから、術後のケアもイメージしておくといいね。

なるほど…。ただ手術になるだけじゃなくて、術式やその後のケアも考えないといけないんですね。
腸閉塞(イレウス)の合併症

イレウスでよく見る合併症を確認していこう!
感染・全身に波及する合併症
- 腹膜炎・腹腔内感染:穿孔や壊死で腸内容物が漏れ、腹膜炎に
- 敗血症・敗血症性ショック:炎症が全身に広がり急速に重篤化
- 多臓器不全(MOF):敗血症やショックの進行で腎不全・肝不全などを合併
- 細菌移行(バクテリア・トランスロケーション):腸粘膜バリアが壊れて菌が血流へ侵入
腸管そのものに起こる合併症
- 絞扼性閉塞への進展:小腸閉塞の約25%で発生
- 腸管虚血・梗塞:絞扼が進行すると早ければ6時間で壊死
- 穿孔:虚血や拡張で腸管に穴が開く。特に盲腸径13cm以上でリスク大
- 術後イレウス:術後に腸の蠕動が戻らず再閉塞することがある
代謝・循環に関わる合併症
- 脱水:嘔吐やサードスペースシフトで循環血液量が減少
- 電解質異常:Na・K・Clの喪失。特に低K血症に注意
- 循環不全・ショック:重度脱水や血管内容量減少で循環維持できなくなる
その他の合併症
- 腹腔内圧上昇(IAH):腸管拡張で臓器血流が障害される
- 栄養不良:長期絶食や腸管機能不全で栄養維持が困難
- 胆汁うっ滞や膵炎:腸管うっ滞が波及して消化器系に影響

感染やショックに至る全身の合併症は、特に緊急度が高いものだよ。もちろん、他の合併症も処置が必要になるから注意深く観察しよう。
腸閉塞(イレウス)の患者の看護
腸閉塞の看護では、全身状態の安定と術後合併症の予防、患者さんと家族の不安に寄り添う関わりが大切だよ。
バイタルサインの観察と全身状態の安定化
腸閉塞は急変のリスクが高いから、術前・術後を通して、まずは全身状態を安定させることが大切だよ。
- ABCD評価で呼吸・循環・意識を確認し、悪化のサインがないかアセスメントする
- 血圧・脈拍・尿量をチェックし、変化を記録する
- 脱水や出血によるショック兆候を早期に発見・報告する
周術期の全身管理
手術を受ける患者では、感染・減圧・輸液など全身状態の維持が重要なんだ。
- 創部やドレーン排液・体温を観察して感染兆候を早期に発見する
- 排液の色などはスケールを用いてスタッフの認識を一致させる
- 経鼻胃管やイレウス管の固定・排液量を観察する
- 輸液内容・尿量を把握して循環動態や電解質を評価する
- チューブ固定による皮膚トラブルに注意し、潰瘍やびらんができないよう保護を行う
疼痛コントロール
痛みを和らげることで、呼吸の安定や離床がスムーズになるんだ。合併症予防にもつながるから、患者さんと相談しながらコントロールをしていこう。
- 鎮痛薬を伝えることを伝え、痛みがひどくなる前に使用できるようにする
- 鎮痛剤の使用後は、スケールなどを用いて効果を評価し、記録に残す
- 副作用(鎮静・呼吸抑制・悪心など)の出現に注意し、こまめに観察する
精神面のサポート
突然の入院や手術により、場合によってはストーマ増設となる場合もあるんだ。ボディイメージの変化も含め、患者さんや家族の不安に寄り添うことが大切だよ。
- 状況を説明し、緊急の入院や手術による不安を軽減できるよう関わる
- ストーマが造設された場合は、焦らず受容できるように関わり、段階的にケアや管理方法について指導する
- 患者さんや家族が前向きにセルフケアできるようサポートする

緊急性もあるけど、長期的な経過を考えて関わる必要があるんですね…!

腸閉塞(イレウス)を振り返ってみるよ!
「腸閉塞(イレウス)」解説記事のまとめ
- 腸閉塞には機械的・機能的な型があり、特に血流障害を伴う絞扼性閉塞は緊急度が高い
- 持続する強い腹痛や腸雑音消失、腹膜刺激症状、嘔吐悪化、ショック徴候が絞扼性イレウスのサイン
- 支持療法で改善しない場合や血行障害が疑われる場合は緊急手術の適応となる
- 進行すると、壊死や穿孔による腹膜炎・敗血症・多臓器不全、さらに脱水や電解質異常などの重篤な合併症へつながる
- 急変のサインの観察や、疼痛コントロールを含めた術後管理が看護のポイント

どんなふうに閉塞しているのかが理解できると、治療と結びつきやすくなりますね…!基本的な知識の整理が大切ですね。


