
輸血の基本


輸血って、確認も多いし副作用も怖いイメージがあって…。
すごく緊張するんです…!

緊張感を持つことは大切だよ。でも。輸血は一つひとつの手順に理由があって、ポイントを押さえれば安全に実施できるからね。
どこに気をつければいいのか、一緒に整理していこう!
解説記事で学べること!
輸血とは

輸血は、体の中で不足してしまった血液の成分を補う治療だよ。
血液は、酸素を運ぶ・出血を止める・体をめぐるための血液量を保つといった働きがあるよ。でも、量や成分が不足すると全身の状態が不安定になりやすいんだ。
そのため輸血は、以下の状態で予後を改善する目的で行われるよ。
- 出血などで循環血液量が減ったとき
- 重度の貧血で酸素を運ぶ力が低下したとき
血液製剤を扱うときの基本的な考え方
輸血に用いる血液製剤は、人の血液そのものを原料として作られているんだ。一般的な薬剤とは成分が大きく違っていて、保存方法や取り扱いにも特別な注意が必要だよ。
血液は人体の重要な構成要素であり、臓器に近い性質を持つものだから、慎重に管理し、適切な条件で投与することが不可欠なんだ。
貧血とは
貧血は、体の中で、赤血球が不足して酸素を十分に運べなくなっている状態(病態)を指しているんだ。
貧血を理解するポイントは次の2つ。
- 赤血球は全身へ酸素を届ける役割を担っている
- 赤血球の量は、つくられる量と壊れる量のバランスで保たれている
このバランスが崩れると赤血球が減り、貧血になるんだ。
貧血の有無をみるときには、ヘモグロビン(Hb)値がよく使われるよ。
一般的な基準は以下のとおり。
- 成人男性:Hb13g/dL以下
- 成人女性:Hb12g/dL以下
この値を下回ると、酸素を運ぶ力が不足し、めまい、動悸、倦怠感といった症状を引き起こすことがあるんだ。Hbの値や全身状態などを総合して、輸血が検討されるよ。
輸血製剤の種類と目的、管理上の注意点など
輸血製剤は、輸血部門で一元的に管理されていて、製剤ごとに決められた温度・条件で保管されているよ。これは、血液成分がとてもデリケートで、温度が違うだけでも成分が壊れたり、細菌増殖のリスクが上がったりするためなんだ。
そのため、
- 保管場所
- 温度
- 使用期限
- 搬送方法
など、製剤ごとに細かくルールが設けられているよ。
主な輸血製剤(RBC・FFP・PC)
輸血製剤の目的や注意点について整理していこう!
| 製剤名 | 略称 | 主な目的 | 管理上の注意点 |
| 赤血球製剤 | RBC | ・酸素を運ぶ力を改善する ・出血で血液量が減ったときに補う | ・2〜6℃で保管・温度外に出したら速やかに使用 ・60分以上使わない場合は適切な温度に戻す |
| 新鮮凍結血漿 | FFP | ・凝固因子を補う ・大量出血時の循環血液量確保 | ・−20℃以下で保管 ・衝撃に弱いので外箱の凹みや破損を確認 |
| 血小板製剤 | PC | ・止血機能を保つ ・改善する | ・20〜24℃で水平振とう保存 ・スワーリングや凝集塊の有無を確認 |
輸血製剤搬送時の注意点
搬送時にも、製剤ごとに必要な温度帯が違うため注意が必要だよ。
・血小板製剤は室温(20〜24℃)
・赤血球製剤は冷蔵(2〜6℃)
・FFPは凍結(−20℃以下)
このように、温度帯がまったく異なる製剤を同じ容器で運ぶことはNGなんだ。
搬送には、温度変化が少ない専用容器や、製剤を安定して入れられる緩衝材などを使って、成分が傷まないように注意しよう。
ヒト由来の血漿分画製剤
輸血製剤ではないけれど、ヒト血液を原料とする治療薬もあるんだ。
アルブミン製剤
- 血液中の主要なタンパクであるアルブミンを濃縮した製剤
- 5%(等張)と20〜25%(高張)がある
- 血漿膠質浸透圧を維持して循環血液量を確保するために使われるよ
グロブリン製剤(γグロブリン)
- 免疫グロブリンを含む製剤
- 神経疾患(例:ギラン・バレー症候群)に対する「ガンマグロブリン大量療法」などで使用されることがある

血液製剤もヒト由来の製剤も、限りある大切な資源だよ。
正しい管理方法で、丁寧に扱おう!
輸血をするために必要な検査
輸血を安全に行うためには、「患者さんにその血液製剤が本当に適しているか」を事前に確認することがとても大切。輸血前には3つの重要な検査が順番に実施されるよ。
ABO血液型検査・RhD血液型検査
【ABO血液型検査】
ABO式血液型は、輸血の基本となる情報だよ。2つの方法で確認して、結果が矛盾していないかを必ず見るんだ。
- オモテ検査(赤血球側):患者さんの赤血球にA抗原・B抗原があるか調べる
- ウラ検査(血漿側):患者さんの血漿に抗A抗体・抗B抗体があるかを確認する
この2つを合わせて判断することで、より正確な血液型を知ることができるよ。
【RhD血液型検査】
RhD抗原の有無を調べ、「Rh(+)か(−)か」を判断する検査だよ。RhDは輸血適合に深く関わるため、こちらも必ず確認することが必要なんだ。
【血液型の二重チェック】
患者誤認や検体取り違えを防ぐため、別のタイミングで採血した2本の検体で血液型検査を行い、結果が一致した場合にのみ血液型を確定するよ。

これは「輸血医療の安全を守るための大切なルール」だから原則実施するよ。
不規則抗体スクリーニング
ABO型やRhD型以外にも、体の中にはさまざまな抗体が存在することがあるんだ。特に、輸血後にできる抗体や、妊娠をきっかけに生じる抗体は、輸血で重大な副作用(溶血反応など)を引き起こすことがあるよ。
そのため、不規則抗体スクリーニングでは、臨床的に意義のある抗体があるかどうかを調べるよ。
- 最も信頼性の高い方法は、間接抗グロブリン試験(IAT)を含む検査
- 結果が陽性の場合は、その抗体に合った血液製剤を選ぶ必要がある
【検体の有効期限】
以下の場合は、輸血当日を含めた3日以内に採血した検体で検査する必要があるよ
- 過去3か月以内に輸血歴がある
- 過去3か月以内に妊娠歴がある
- これらが不明
これらの状態では、新しい抗体ができている可能性があるから、できるだけ“今の状態”を反映した検体で調べるんだよ。

採取した検体は、すぐに検査するってことだね!
交差適合試験(クロスマッチ)
交差適合試験は、患者さんと血液製剤が本当に適合しているかを最終的に確認する検査だよ。
【主試験(必須)】
患者の血漿×製剤の赤血球→ABO不適合や反応の有無を確認する
【副試験】
患者の赤血球×製剤の血漿→必要に応じて行う
【コンピュータクロスマッチ】
次の条件を満たす患者さんでは、交差適合試験を省略して、電子システムで適合性を判断することができるよ。コンピュータ側で安全が確認されれば、より迅速に血液製剤を準備できるというメリットがあんだ。
- 臨床的意義のある不規則抗体がない
- 患者情報と血液製剤情報がシステムで正しく管理されている
ただし、導入には専用システムが必要なため、すべての施設で行われているわけではないんだ。
輸血実施の手順
輸血は、患者さんの安全を守るために、「準備→照合(ダブルチェック)→観察→記録」という一連の流れを正確に行うことが大切なんだ。
輸血前準備
●同意書(インフォームド・コンセント)
輸血には感染症や重篤な副作用などのリスクが伴うため、患者さんや家族に十分に説明し、同意を得ることが必須だよ。また、同意書や説明内容は20年間保管する決まりになっているんだ。
●患者さん側の準備
- バイタルサインの測定
- 静脈ルートの確保(溶血を防ぐため20G以上のルートが望ましい)
輸血開始前に、今の状態をしっかり把握しておくことが大事だよ。患者さんの理解度も確認しよう。
●製剤の外観確認
輸血部門から届いた血液製剤は、投与直前に必ず外観をチェックするよ。
次のような異常がないかを肉眼で確認するんだ。
- 色調の変化
- 黒色化(溶血)
- 凝集塊
- バッグの破損・開封の有無
少しでも異常があれば絶対に使用しないことが鉄則だよ。
ダブルチェック
輸血の安全を守るために、2名の医療従事者による照合(ダブルチェック)が必須だよ。チェックは、カルテ・輸血情報管理システムの内容と、製剤バッグの表示のすべてを照合するんだ。
照合する主な項目は以下のとおり。
- 患者情報:氏名、ID番号
- 血液製剤情報:血液型(ABO・RhD)、製剤の種類
- 製造番号
- 有効期限
- 交差適合試験の結果
- 放射線照射の有無(必要例)
さらに、輸血開始時には、電子的照合(バーコード照合)も実施するよ。患者リストバンドや製剤バッグのバーコードを読み取り、電子的に一致を確認する仕組み(PDAなど)が推奨されているんだ。

ヒューマンエラーを減らすための有効な方法で、施設によって違いがあるから必ず確認しよう!
投与中の観察
多くの副作用は輸血開始直後に起こりやすいから、輸血中は患者さんの状態をこまめに観察していくよ。
【投与前】
まず、輸血前のバイタルサインを測定して、普段の状態を把握しておこう。
【輸血開始直後(0〜5分)】
とくに最初の5分はベッドサイドで観察する必要があるよ。ABO不適合などによる急性溶血反応は、この時間に起こりやすいんだ。
【その後の観察】
- 少なくとも15分ごとに患者さんのそばで状態を確認する
- 観察項目
- 血圧
- 脈拍
- 体温
- SpO₂
- 患者さんの訴え(悪寒、呼吸苦、胸痛、背部痛など)
異常を少しでも感じたら、迷わず輸血を中止して速やかに医師へ報告しよう!
記録と保管
輸血は、後から安全性を追跡できるように、診療録とは別に記録を作成・保管する必要があるんだ。
記録内容は以下のとおり。
- 患者氏名・住所
- 製剤名・製造番号(ロット番号)
- 投与日
- 副作用などの安全管理上必要な事項
作成した記録は、輸血した日から20年以上保管する決まりになっているから、紙カルテでも電子カルテでも必ず必要だよ。
輸血の副作用と対応
輸血では、副作用が起こることもあるよ。原因や起こり方によって対処方法が違うから覚えておこう!
副作用の分類
輸血による副作用は、次のように整理できるよ。
【原因による分類】
- 免疫学的副作用(アレルギー反応、溶血性副反応、TRALIなど)
- 感染性副作用(輸血後感染症など)
- その他の機序による副作用(TACO(循環過負荷)など)
【発症時期による分類】
- 即時型(急性型):輸血中〜輸血後数時間以内に発症
- 遅発型:輸血後数日〜数週間後に発症
臨床でよく遭遇するのは「即時型」だよ。だから、輸血開始直後の観察がとても重要なんだ。
主な副作用とその対応
輸血中に起こる代表的な副作用には以下のものがあるよ。
| 副作用 | 概要 | 主な対応 |
| アナフィラキシーショック | 輸血開始後4時間以内に起こる重篤な全身性過敏反応 | ・アドレナリン筋注(第一選択) ・抗ヒスタミン薬やステロイド薬の使用 ・呼吸・循環管理 |
| アレルギー性輸血副反応 | 蕁麻疹、かゆみ、紅潮など。 皮膚症状が中心の軽症反応 | ・抗ヒスタミン薬 ・反応を繰り返す場合:血小板製剤の洗浄製剤を検討 |
| TACO (輸血関連循環過負荷) | 循環器系に負荷がかかり、呼吸困難・血圧上昇などが起こる | ・輸血中止 ・改善しなければ利尿剤の投与 |
| TRALI (輸血関連急性肺障害) | 輸血関連のARDSで、重篤な肺障害を伴う | ・呼吸・循環管理を慎重に行う ・低用量ステロイド(メチルプレドニゾロン1〜2mg/kg/day)が考慮される |
| 即時型溶血性輸血反応 | ABO不適合などが原因。 悪寒、血圧低下、腎障害などが急激に発生 | ・輸血中止、ルート確保 ・原因究明の検査(血液型・不規則抗体など) |
副作用が疑われたときの初期対応
どの副作用であっても、最初に行うべき対応は共通しているよ。
- 輸血を直ちに中止する。
- 針は抜かず、生理食塩液に交換してルートを確保する。
- 医師と輸血部門へ速やかに連絡し、症状を記録する。
- 使用中の血液バッグ・輸血セット・患者検体を回収し、原因究明のため提出する。
これは、どの施設でも共通した輸血トラブル対応方法。いざというときのために必ず覚えておこう。
看護の視点で押さえたいポイント
副作用への対応は、看護師の気づきがとても大事なんだ。
- 急性副作用の多くは輸血開始直後〜5分以内に起こるため、ベッドサイドでの観察が必須
- 看護師の役割は早期発見・輸血中止・報告
- ささいな違和感があれば、輸血を中止する
- 副作用後は記録を残すことが必ず必要
- 原因の調査は輸血部門が行うため、迅速な対応と正確な情報提供が看護師の重要な役割

輸血はとにかく確認と、副作用を見逃さないことが大切なんですね。

輸血の基本を振り返ってみるよ!
「輸血の基本」解説記事のまとめ
- 輸血は、出血や重度の貧血で血液量や酸素運搬能が低下したときに不足成分を補い、予後を改善する治療
- 血液製剤はそれぞれ目的と適切な保管温度が異なるため、保管・搬送時の温度管理と取り扱いルールを厳守する
- 安全な輸血のために、ABO・RhD血液型検査、二重チェック、不規則抗体スクリーニング、交差適合試験(クロスマッチ)を実施する
- 輸血実施時は、ダブルチェックを確実に実施する
- 輸血開始後は副作用の出現に注意し、異常を感じたら、速やかに輸血を中止する

血液製剤の管理や観察の意味がわかりました!
前より落ち着いて対応できそうです!


