
急性胆嚢炎 ≺1.30 New‼


胆嚢炎の患者さんって痛みが強いから見ててつらくなります…。
どんなところに気をつけてケアしたらいいんでしょうか?

胆嚢炎は苦痛が強いから、痛みの管理も大切だよね。どの段階で何をすべきか整理するとするべきことが見えてくるよ!
急性胆嚢炎の流れや看護を解説していこう!
解説記事で学べること!
急性胆嚢炎の病態

「急性胆嚢炎」は、胆嚢に急に炎症が起こる病気!
胆嚢は肝臓でつくられた胆汁を一時的にため、食後に腸へ送り出す働きをする臓器だよ。この胆汁の通り道(胆嚢管)がふさがると、胆汁が外に出られなくなり、胆嚢内で炎症が起こるんだ。

炎症の進み方
胆汁が流れなくなると、胆嚢内の圧が高まり、胆汁が濃縮していく。その濃い胆汁に含まれる成分(リソレシチンなど)が、胆嚢の内側の粘膜を傷つけることで、化学的な炎症(非感染性炎症)が起こるんだ。
この段階ではまだ細菌感染はないけれど、炎症で粘膜が傷ついた胆嚢の中は、細菌が入り込みやすい状態になっているよ。
そこへ腸内細菌(大腸菌やクレブシエラなど)が侵入すると、細菌感染を伴う炎症に進行してしまうんだ。炎症が強くなると胆嚢の血流が悪くなり、組織が壊死したり、最悪の場合は穿孔し、腹膜炎を起こすこともあるんだ。
胆嚢炎の原因
急性胆嚢炎のほとんど(約95%)は、胆石が胆嚢管をふさいでしまうことで起こるんだ。胆石が詰まると、胆汁が胆嚢内に閉じ込められて流れなくなり、うっ滞した胆汁が胆嚢を刺激して炎症が始まるんだ。このとき、胆嚢の壁は腫れて厚くなり、内部の圧が上がるから、強い痛みを感じるんだよ。
胆石以外にも、胆汁の流れが滞る状態や感染がきっかけで発症することがある。たとえば、体の水分バランスが崩れて胆汁が濃縮したり、感染症などで胆嚢の動きが悪くなる場合も発症の原因になることがあるんだ。
一方で、胆石がないのに起こるタイプを無石胆嚢炎というよ。
全体の約5〜10%と頻度は少ないけれど、こちらは重症化しやすいのが特徴。手術のあとや重い外傷のあと、敗血症、長期間の静脈栄養(TPN)などで起こることが多いんだ。
急性胆嚢炎の症状
急性胆嚢炎の症状は、痛みや発熱、消化器症状が特徴!
典型的な症状
急性胆嚢炎の典型的な三徴候はこちら
- 右上腹部痛
- 発熱
- 吐き気(嘔吐)
右上腹部からみぞおち(心窩部)にかけて激しく持続する痛みが起こるのが特徴で、食後や夜間に突然発症することも多いんだ。
発熱は38℃以上の高熱になることが多く、悪寒を伴う場合もあるよ。炎症や感染が強くなるほど、全身のだるさや食欲不振も出てくるんだ。
また、消化器症状として吐き気や嘔吐が見られることもよくあるよ。
痛みの特徴
痛みは胆石による痛みに似ているけれど、より強く、より長く続くのが胆嚢炎の特徴なんだ。とくに、6時間以上続く痛みがあるときは、単なる胆石発作ではなく、胆嚢炎を疑うサインだよ。
痛みは右肩や背中、特に右肩甲骨の下あたりに放散することがある。これは、胆嚢の神経が横隔膜を通して肩の神経とつながっているからだよ。
また、深呼吸や咳、体の動きで痛みが強くなるのも特徴のひとつだから、痛みは重要な観察ポイントなんだ。
マーフィー徴候
急性胆嚢炎では、マーフィー徴候(Murphy’s sign)が陽性になることが多い。これは、医師が右季肋部(肋骨の下のあたり)を押しながら患者に深呼吸させると、痛みのために呼吸が止まってしまう反応のことだよ。
右上腹部の圧痛と組み合わせてみられるこのサインは、胆嚢炎を疑う重要な身体所見なんだ。
重症化を疑うサイン
- 痛みがどんどん強くなる
- 熱が上がり続ける
- 悪寒がある
これらは、炎症が広がっているサインかもしれないよ。
さらに、皮膚や白目が黄色くなる黄疸が出ている場合は、胆汁の流れが滞っている可能性があるんだ。この状態では、総胆管結石などによる胆汁うっ滞を合併していることもあるから、胆管結石の合併を評価して、必要に応じて適切な処置を検討するよ。
また、高齢者では典型的な症状が出にくく、痛みや発熱が軽いまま進行することがある。「なんとなくだるい」「食欲がない」「微熱が続く」などの訴えも、重症化のサインかもしれないよ。とくに、意識がぼんやりしたり、血圧が下がってきたりする場合は、敗血症への進行を疑ってすぐに報告しよう。
急性胆嚢炎の検査
急性胆嚢炎は、症状だけではほかの疾患(胆管炎や膵炎など)と、区別がつきにくいことがあるんだ。だから、血液検査や画像検査で炎症の程度や胆嚢の状態を確認することがとても大切なんだよ。
血液検査
急性胆嚢炎では、炎症や感染に関係する値が上昇するよ。
- 白血球(WBC):10,000/mm³を超えて増加
- CRP(C反応性タンパク):3mg/dL以上に上昇(炎症が強くなるほど高値になる傾向)
- 肝胆道系酵素(AST・ALT・ALP・γ-GTP)やビリルビンの上昇があると、胆汁の流れが悪い(胆汁うっ滞)状態であると判断できる。
血液検査は、全身の炎症の強さと胆汁うっ滞の有無を調べる、基本的な検査だよ。
画像検査
画像検査は、胆嚢の腫れや胆石の有無を確認し、確定診断につなげるためのものだよ。とくに、症状が似ている疾患の鑑別には欠かせないんだ。
腹部超音波検査(エコー)
- 一番よく使われる検査で、ベッドサイドでも検査可能
- 胆石の有無、胆嚢壁の肥厚(4mm以上)、胆嚢周囲の液体貯留を確認
- プローブで押したときの痛み(超音波マーフィー徴候)の有無も観察する
CT・MRI検査
- エコーで診断がつかない場合に行う
- 壊疽や穿孔、膿瘍などの合併症の有無を詳しく調べられる
HIDAスキャン(肝胆道シンチグラフィ)
- 放射性トレーサーを使って胆汁の流れを確認
- 胆嚢が映らない場合は、胆嚢管が詰まっていることを示す
診断方法
急性胆嚢炎の診断は、東京ガイドライン2018(TG18)という国際的な基準に沿って行われるよ。
診断では、次の3つの要素をチェックするんだ。
- 局所の所見(右上腹部の痛み・圧痛・マーフィー徴候など)
- 全身の炎症所見(発熱、白血球やCRPの上昇など)
- 画像所見(胆嚢の腫れ、壁の肥厚、胆石の有無など)
局所と全身の所見がそろうと胆嚢炎の疑い、さらに画像所見が加わると急性胆嚢炎と確定診断できるんだ。
そのうえで、炎症や臓器障害の程度から軽症・中等症・重症のグレード分けをし、治療方針が決定するよ。
【急性胆嚢炎の重症度分類(TG18より)】
| グレード | 概要 | 主な特徴・対応方針 |
| Grade I(軽症) | 炎症が胆嚢内にとどまっている | 臓器障害なし。全身安定。早期手術が可能。 |
| Grade II(中等症) | 炎症が強く、合併症のリスクあり | 白血球↑(>18,000)や膿瘍形成など。 慎重に手術を検討。 |
| Grade III(重症) | 臓器障害を伴う | 循環・呼吸・腎・肝などに障害あり。 まずはドレナージや集中治療を優先。 |

グレードを知ってると、どんな状態だからこの治療をしているのかってことが一目でわかるね。
急性胆嚢炎の治療
急性胆嚢炎の治療は、炎症と感染をおさえて全身状態を安定させることが基本だよ。そのうえで、状態に合わせて手術やドレナージなどを行うんだ。治療方針は、炎症の強さや臓器障害の有無(グレード)によって変わると覚えておこう。
初期治療
どの重症度でも、まず行うのが初期治療だよ。目的は、炎症をしずめて全身の状態を安定させること。
- 絶食(NPO):胆嚢の収縮を防いで炎症を悪化させない
- 輸液と電解質補正:脱水やショックを防ぐ
- 鎮痛薬の投与:痛みにはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が有効。禁忌がないか確認して使おう
- 抗菌薬の静注:感染の拡大を防ぐため、診断後はただちに開始する。胆嚢の炎症源を処置(手術やドレナージ)したあとは、通常4〜7日を目安に調整する
この段階で痛みや発熱が落ち着き、全身状態が安定してきたら、手術の検討を開始するよ。
胆嚢摘出術
急性胆嚢炎の根治的治療は、胆嚢を取り除く胆嚢摘出術だよ。
なかでも一般的なのが腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)で、開腹手術より痛みが少なく回復も早いんだ。
軽症(Grade I)〜一部の中等症(Grade II)では、発症から72時間以内の早期手術が理想的。早期に手術を行うことで、合併症を減らし、入院期間が短縮できるんだよ。
ただし、手術のタイミングは、患者さんの全身状態を見ながら慎重に判断する必要がある。高齢だったり、心臓や呼吸などに持病がある場合は、無理に手術は行わないよ。待機手術として状態が落ち着くのを待つケースもあるんだ。
手術を検討するときには、Charlson併存疾患指数(チャールソン指数)やASA-PS分類といった評価方法を用いて、手術や麻酔のリスクを評価するよ。炎症が強かったり、臓器の働きが落ちているときは、まず抗菌薬や輸液で全身管理を続け、体調が安定してから手術を行うのが安全なんだ。
ドレナージ治療と代替手術
全身状態が悪くてすぐに手術できない場合は、まず胆汁を外に出して炎症を落ち着かせる治療を行うよ。
- 経皮的胆嚢ドレナージ(PTGBD):皮膚から胆嚢に管を入れて、胆汁を体外へ排出する処置。
- 超音波内視鏡下胆嚢ドレナージ(EUS-GBD):内視鏡(胃カメラのような管)を口から入れて、超音波で胆嚢を確認しながら、胃や十二指腸の壁越しに胆嚢へ管を通す処置。ただし、専門的な内視鏡技術と機器が必要で、実施できる施設は限られる。
炎症が強く、手術中に胆管損傷などのリスクが高い場合には、胆嚢の一部だけを摘出する「亜全摘術」といった代替手術(Bail-out surgery)を行うこともあるんだ。これは、患者の安全を最優先にするための選択なんだよ。

できるだけ早期の手術が理想だけど、まずは状態の安定が優先ってことだね。
急性胆嚢炎の合併症
急性胆嚢炎は、炎症が胆嚢の中だけにとどまらず、まわりの組織や全身に広がることがあるんだ。治療が遅れたり重症化したりすると、命にかかわる合併症を引き起こすこともあるから注意しよう。
胆嚢に起こる合併症
炎症が強くなると、胆嚢やその周囲にさまざまなトラブルが起こるんだ。
- 壊疽性胆嚢炎:胆嚢の血流が悪くなり、壁の組織が壊死する
- 胆嚢穿孔:胆嚢壁が破れて胆汁が腹腔内に漏れ出す(胆汁性腹膜炎の原因になる)
- 胆嚢周囲膿瘍:胆嚢のまわりに膿がたまる
- 気腫性胆嚢炎:胆嚢壁の中にガスが発生する重症の炎症
どれも腹膜炎や敗血症に進展する危険性があるから、痛みの増強や発熱の上昇、腹部の張りなどの変化に早く気づくことが大切。
全身に影響する合併症
炎症が広がると、細菌が血液中に入って全身の臓器に悪影響を及ぼすことがあるよ。
- 敗血症(Sepsis)・敗血症性ショック:細菌が血流に入り全身の炎症反応を起こす。重症では多臓器不全に進行
- DIC(播種性血管内凝固症候群):血液が固まりやすくなり、臓器障害や出血を起こす
- 誤嚥性肺炎・胸水貯留:長期臥床や全身衰弱によって起こることがある
高熱、血圧低下、意識の変化、尿量の減少などは敗血症のサインだよ。急激に状態が変わることもあるから、サインを見逃さないようにしよう。
慢性化や長期化によるリスク
炎症が長引いたり、繰り返したりすると、慢性化して長期的な問題につながることもあるんだ。
- 慢性胆嚢炎:胆嚢壁が厚く硬くなり、再発しやすくなる
- 胆嚢癌:慢性的な炎症や刺激が発がんの要因になることがある
早期発見のためにも、定期的な経過観察と再発予防が大切なんだ。特に高齢者や胆石がある患者さんは、再発しやすいから注意しよう。
急性胆嚢炎患者の看護
痛みが強い疾患だからこそ、迅速な対応と疼痛コントロールが大切だよ。もちろん、不安へのケアも忘れないようにね!
全身状態の観察
炎症や感染の進行を早くつかむためには、全身状態の観察がとても大切なんだ。小さな変化を見逃さず、全体のバランスを見て判断しよう。
- 発熱、脈拍、血圧、呼吸、SpO₂などのバイタルサインを定期的に測定し、変化を記録する。
- 眠気や反応の遅れといった意識レベルの変化を、JCS・GCSなどを用いてチェックする。
- 右上腹部の痛み、膨満、圧痛、筋性防御などを観察する。
- 表情や姿勢、声のトーンなどを観察し、ペインスケールなどを用いて痛みを評価する。
- 血液データは、白血球数やCRP、肝胆道系酵素の変化に注目する。
- 発熱の上昇、痛みの増強、腹部膨満など、症状悪化のサインがあれば、すぐに報告する。
スムーズな治療への移行
迅速な対応が求められる急性胆嚢炎では、スムーズに次の治療に進められるよう準備が大切だよ。
- ルートの固定、滴下速度、副作用の有無を確認する。ルートは太めのもの(20G以上が望ましい)を留置する。
- 絶食・ルート確保・抗菌薬投与など手術前の前処置を確認し、患者さんに伝える。前処置の時間などあれば説明する。
- 経過によっては即日手術適応となることもある。スピード感ある治療に対し戸惑いがないか確認し、不安に寄り添う。
疼痛コントロール
強い痛みが特徴の急性胆嚢炎では、疼痛コントロールが欠かせないよ。
- 部位・強さ・持続時間・放散の有無など、痛みの特徴を観察し記録する。
- 痛みはスケールを用い、患者さんとスタッフが共通の認識を持つようにする。
- 鎮痛薬を使用したときは、投与後の表情や訴えの変化、副作用の有無を観察し評価を行う。
- 背中を少し起こす、右側臥位など体位を工夫し、痛みがやわらぐ体位を一緒に探す。
- 痛みの原因や今後の治療について「良くなっていく過程」と説明し、患者さんの苦痛や不安に寄り添う。
合併症の早期発見
炎症が進行すると、腹膜炎や敗血症など命に関わる合併症を起こすこともある。小さな変化を見逃さず、早期発見・早期対応につなげよう。
- 高熱、頻脈、血圧低下、意識の変化、尿量減少などがあれば敗血症を疑い、こまめに観察をする。
- 腹部の強い圧痛や筋性防御、腹部膨満の増悪が見られた場合は腹膜炎を疑い、速やかに報告する。
- 排液のにごり・臭い・量の変化は感染悪化のサインといえるため、性状の観察・記録を正確に行う。

「いつもと違う」と感じたら、間違っていてもいいので声を出して他のスタッフにもみてもらおう!

急性胆嚢炎を振り返ってみるよ!
「急性胆嚢炎」解説記事のまとめ
- 急性胆嚢炎とは、胆石が胆嚢管をふさいで胆汁が流れなくなり、化学的炎症から細菌感染へと進行する病気
- 主な症状は右上腹部の強い持続痛、発熱、吐き気で、マーフィー徴候が診断の手がかりとなる
- 診断はTG18に基づき、局所所見・全身炎症所見・画像所見の3要素で判断する
- 治療は絶食・輸液・鎮痛・抗菌薬による全身管理から始まり、状態が安定したら早期に手術を行う
- スムーズな治療への移行と疼痛コントロール、合併症の早期発見を意識して関わる

治療の流れがわかったら、今何をするべきなのかが見えてきました。自信をもって看護していきたいです!


