尿路感染症

尿路感染症の患者さんはいっぱい受け持ちしました。最近は「またこのパターンだ!」って流れがつかめるようになってきたんです!

そう思えるようになったのは成長してる証拠だよ。でもね、気づいたら腎盂腎炎でぐっと悪化していた…なんてケースもあるんだ。だからこそ、改めて尿路感染症のポイントを整理してみよう。

解説記事で学べること!

尿路感染症の病態

尿路感染症とは、腎臓・腎盂・尿管・膀胱・尿道のどこかに細菌が入り込んで炎症が起きる状態!

尿路はひとつの通り道みたいなもので、その中のどこに炎症が起きるかで呼び方が変わるよ。

・膀胱に炎症が起これば「膀胱炎」(下部尿路感染)
・腎臓まで炎症が広がれば「腎盂腎炎」(上部尿路感染)

特に腎盂腎炎は、発熱や全身倦怠感が強く出る“有熱性尿路感染症”で、重症化しやすい特徴があるよ。

さらに、尿路感染症は「背景にどのような問題があるか」でも分類できるんだ。

  • 単純性尿路感染症:特別な基礎疾患がなく、尿路の構造・機能が正常
  • 複雑性尿路感染症尿路の異常(結石・狭窄・腫瘍・神経因性膀胱など)や免疫低下(糖尿病、ステロイド使用中)がある状態

男性の腎盂腎炎は、背景に異常がある可能性が高いから、原則すべて複雑性として扱うよ。

尿路感染症の感染経路

尿路感染症のほとんどは、腸内細菌(特に大腸菌)が尿道から侵入して膀胱、腎臓へと“上向き”に広がる上行感染なんだ。女性は尿道が短いから、どうしても感染しやすいんだよ。

また、膀胱カテーテル留置中の患者さんでは、緑膿菌やセラチアといった日和見菌が原因で尿路感染症を起こすこともあるんだ。

腎盂腎炎の特徴

腎盂腎炎は、膀胱から入った細菌が尿管をさかのぼって腎臓の深い部分(腎実質)まで炎症を広げることがあるんだ。そこまで炎症が進むと、血流の中に細菌が入り込みやすく、全身症状が強くなるのが特徴だよ。

尿路感染症は、「どこで炎症が起きているのか」「背景に問題があるか」で重症度や治療の方針が変わるんだ。一口に尿路感染症といっても、方針が変わることを覚えておこう!

尿路感染症の症状

尿路感染症は、炎症が起きている場所によって症状が大きく変わるんだ。膀胱なのか、腎臓なのかで、患者さんの訴えや観察ポイントも違ってくるよ。

膀胱炎の症状

膀胱炎では炎症が膀胱にとどまっているから、排尿時の症状が中心になるんだ。

  • 排尿痛
  • 頻尿
  • 尿意切迫感(急に我慢できない尿意)
  • 残尿感
  • 下腹部痛

発熱はほとんど伴わないのが特徴だよ。10代後半〜30代の女性で、膿尿と排尿痛があればまず膀胱炎を疑うことが多いんだ。

腎盂腎炎の症状

腎盂腎炎は膀胱炎よりも全身に症状が表れる感染症なんだ。腎臓まで炎症が広がると、体は強く反応しやすくなるよ。

代表的な症状は以下のとおり。

  • 発熱
  • 悪寒
  • 側腹部痛(横腹の痛み)
  • 全身倦怠感
  • 悪心・嘔吐などの消化器症状

中でも特徴的なのが、肋骨と背骨の角を押したときに起こる痛み( CVA tenderness)だよ。腰肋三角部を軽く叩くと痛みが走るのは、腎臓に炎症が及んでいるサインなんだ。

複雑性尿路感染症の症状

複雑性の場合は、症状の幅がとても広いのが特徴だよ。

  • 単純性と同じような排尿時症状だけのこともある
  • ほとんど症状が出ないケースもある
  • 上部尿路閉塞があると高熱が続くことがある

背景に病気があると症状が分かりにくくなることもあるから、検査の結果や全身状態を合わせてアセスメントする必要があるんだ。

カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)の症状

カテーテルを継続して留置している患者さんは、症状が出にくいこともあるんだ。ちょっとした変化に気が付きにくいから、サインを見逃さないよう注意しよう。

  • 発熱、悪寒
  • 意識の変化(ぼんやり、反応が鈍い)
  • 腰痛、CVA tenderness
  • 急に血尿が出る
  • 骨盤部の不快感

カテーテル抜去後なら、排尿痛や頻尿、恥骨上部の痛みが出てくることもあるよ。

ウロセプシスの症状

尿路感染症が進んで、全身に強い炎症反応が起きると敗血症に陥ってしまうことがあるんだ。この状態をウロセプシスというよ。

とくに以下の症状があれば注意が必要だよ。

  • 尿路症状に加えて全身状態が急に悪化
  • 強い発熱、悪寒
  • 意識の低下、呼吸が早くなる、血圧低下など

尿路感染症の症状ってこんなに違いがあるんですね…!
ここまで細かくは理解できていなかったかも。

「敗血症」についての詳しい解説はこちら👈

尿路感染症の検査

尿路感染症が疑われたらまずは「検尿」をするよ。
次に全身への影響が出ていないかどうかをチェックしていくんだ。

尿検査

尿検査は、尿路感染症の診断に欠かせない基本の検査だよ。検尿から、膿尿があるかどうかの確認が大切なんだ。

採尿は 中間尿が基本だけど、女性で外陰部からの汚染が疑われる場合はカテーテル尿で再検することもあるよ。

膿尿かどうかの基準は以下をチェックするよ。

  • 尿沈渣:白血球が 5個/400倍視野以上
  • 計算盤法:白血球 10個/μL以上
  • 尿培養: 10⁴ CFU/mL以上で有意な細菌尿と判断する

尿培養は原因菌を確定させるために必要で、どんな抗菌薬が効くか(薬剤感受性)を調べることができるんだ。特に複雑性尿路感染症では、抗菌薬投与前に必ず培養をとっておくことが大切だよ。

血液検査

腎盂腎炎のように高熱が出たり、全身に広がりそうな感染症では、重症度や全身状態を把握するために、血液検査を実施するよ。

腎盂腎炎で注目する検査項目は以下のとおり。

  • CBC(白血球の増減や貧血の確認)
  • CRP(炎症の強さ)
  • 血清クレアチニン(腎機能)
  • 必要に応じて HbA1c(糖尿病の有無を確認)

入院を検討する目安になる数値も覚えておくといいよ。

  • 白血球: 12,000/μL以上
  • CRP: 10 mg/dL以上

さらに重症を示す所見として、

  • 白血球が>12,000/μL または <4,000/μL
  • CRP >10 mg/dL
  • 血清クレアチニン >2 mg/dL
  • 血液培養が陽性

こうした所見があれば、全身管理が必要な状態と判断され、入院治療になる可能性が高くなるんだ。

血液培養は、特に発熱が強い腎盂腎炎や、敗血症が疑われる場面で実施されるんだ。全身性の急性炎症反応(SIRS) が疑われる場合は、血液培養を2セット採取して菌血症の有無をしっかり確認することが大切なんだ。

血液培養は抗菌薬の投与前に実施するのが原則!
抗菌薬投与前には、実施の有無を確認しておこう。

画像検査

尿路感染症は、背景に“尿の流れが悪い状態”が隠れていることがあるから、画像検査も重要な意味を持つんだよ。

まずは 腎エコー(超音波検査)がスクリーニングに向いていて、負担も少ないんだ。急性腎盂腎炎では、初診時に腎エコーを行っておくべきとされているよ。

画像検査が必要になるのは、例えばこんな場合だね。

  • 男性患者
  • 40歳以上の女性
  • 尿路感染を繰り返している
  • 尿路疾患の既往や疑いがある
  • 骨盤内手術の既往がある

血液検査や画像検査によって、重症な状態(水腎症、膿腎症、腎膿瘍、気腫性腎盂腎炎など)が確認されたときは、腹部CT が最も有用なんだ。

尿路感染症の治療

尿路感染症の治療の中心は、抗菌薬治療

抗菌薬治療

尿路感染症の治療で一番大事なのは 抗菌薬(抗生剤)だよ。特に腎盂腎炎では、腎臓にしっかり届く 腎排泄型の抗菌薬(βラクタム系、キノロン系など)が使われることが多いんだ。

治療を開始したら、だいたい3日目を目安に効果を判定していくよ。患者さんの症状や発熱、検査値を見ながら「効いているか」を確認していくんだ。その後、尿培養の結果が分かったら、「原因菌に合った抗菌薬へ切り替える(確定治療)」のがポイントだよ。

  「抗菌薬」についての詳しい解説はこちら👈

症状が落ち着いて解熱したら、注射薬から飲み薬へ切り替えていくよ。投与期間は 合計でおよそ14日間が目安とされているんだ。

TIPS:入院治療と外来治療の判断

疾患によって入院か外来かどちらで経過を見ていくかも違うんだ。もちろん患者さんの状態によって変わるけど、目安を知っておくと迅速な対応ができるよ。

膀胱炎:急性膀胱炎は、ほとんどの場合外来での抗菌薬治療で十分だよ。
腎盂腎炎:腎盂腎炎の場合、症状の強さで判断が変わるよ。
   ○38℃以上の発熱や悪寒、全身の重症感がある → 入院して点滴治療
   ○38℃未満で全身状態が安定している → 外来治療も可能
複雑性尿路感染症:複雑性でも症状が軽ければ外来治療が基本だよ。

ただ、閉塞や腎機能低下が疑われる場合は慎重にアセスメントしていこうね。

外科的ドレナージが必要なケース

尿の流れが“どこかで詰まっている”場合は、抗菌薬だけでは改善しないことがあるんだ。とくに、尿路閉塞を伴う腎盂腎炎はウロセプシスに進みやすいから注意が必要だよ。

以下のような状態で外科的ドレナージが検討されるよ。

  • 複雑性腎盂腎炎で尿路閉塞がある
  • 水腎症や膿腎症、腎膿瘍が画像検査で疑われる
  • 結石嵌頓やカテーテル閉塞により尿流が保てていない

このような場合は、腎瘻や尿管ステントで腎盂内の圧を下げ、尿を体外に逃がす処置(ドレナージ)が行われるんだ。

ドレナージで尿の流れを確保しないと、いくら抗菌薬を投与しても治りにくく、敗血症に進むリスクも高くなるから、早期の判断がとても大事なんだよ。

また、尿路感染症や泌尿器科疾患に伴う強い血尿や血塊形成では、尿道カテーテルが閉塞してしまうことがあるんだ。カテーテルが血塊で詰まると、尿が全く出なくなって膀胱タンポナーデ(膀胱が尿と血塊でパンパンの状態)になり、強い疼痛や尿閉を起こしてしまうよ。

そのため、次のような場合には膀胱洗浄(膀胱灌流)が検討されるんだ。

  • 肉眼的血尿が強く、血塊が多い
  • 血塊による尿閉やカテーテル閉塞が疑われる
  • 泌尿器手術後などで血塊形成のリスクが高い

膀胱洗浄には、シリンジで血塊を吸引・除去する用手膀胱洗浄と、3wayカテーテルで生理食塩水を持続的に流す持続膀胱洗浄があるよ。

ただし、目的はあくまで血塊や浮遊物を除去して尿の流れを確保すること。尿路感染を予防するために、習慣的に膀胱洗浄を行うことは、現在は推奨されていないよ。

無症候性細菌尿の扱い

尿に細菌がいても“症状がない”場合、基本的には治療しないことが多いんだ。抗菌薬をむやみに使うと耐性菌を増やす原因になるからね。

ただし、例外があるよ。

  • 妊娠中
  • 泌尿器科処置(手術・膀胱鏡など)の前

この場合は抗菌薬での治療が推奨されているよ。

尿路感染症の看護

尿路感染症は、感染管理に加えて、全身の状態、痛み、水分バランスの変化を評価することが重要なんだ。それぞれの視点から、必要なケアを整理していこう。

感染対策と尿道カテーテル管理

尿路感染症の患者さんでは、尿に細菌が含まれていることが多いから、周囲への感染拡大を防ぎながら、患者さん自身の悪化を防ぐ感染対策が重要だよ。

  • 尿・体液を取り扱う際は、標準準予防策または接触予防策を徹底する
  • 尿道カテーテル挿入時は無菌操作で行う
  • 処置時は、滅菌器具を使用し、無菌的にカテーテルを扱う
  • 使用後の手袋・ガウンなどを感染性廃棄物として廃棄する
  • 尿道カテーテルは必要最小限の期間で使用する
  • 留置した場合は必要性を毎日評価する。不要時には速やかに抜去し、排尿困難などがないかチェックする
  • 採尿バッグは膀胱より低い位置に保持し、逆流を防止する
  • カテーテルの閉塞や屈曲により、尿の流れを妨げていないか定期的に確認する

全身状態の観察

腎盂腎炎は全身の感染に広がることもあるよ。患者さんのちょっとした変化に気づけるようにしよう。

  • バイタルサインの測定と、全身状態のアセスメントをし記録する
  • 発熱の推移や悪寒の有無を確認する
  • 全身倦怠感や食欲低下の有無を観察する
  • 脱水徴候の有無を観察する
  • 高齢者の場合は意識変容やせん妄の早期発見
  • 解熱後の状態変化を丁寧に確認する

疼痛管理

尿路感染症は痛みが強く出ることもあるよ。痛みの訴えに寄り添い、安楽に過ごせるようにケアしよう。

  • FSやNRSなどを用い、痛みの部位、強さ、性質を観察する
  • 排尿時痛や側腹部痛の症状の変化を観察・記録する
  • 痛みとともに、発熱や悪寒の有無を観察する
  • 鎮痛薬を使用した場合は、効果や副作用の観察を行う
  • 丁寧な声掛けや説明を行い、不安軽減に務める

水分管理と排尿ケア

尿をしっかり出すことは回復にとても大切だから、水分摂取量と排尿の状態を細かくみていくよ。とくにカテーテル抜去後は排尿機能が落ちることがあり、残尿が増えると尿路感染につながりやすいから注意しよう!

  • 水分摂取量とタイミングを観察し、水分摂取が進まない場合はこまめに促す。
  • 発熱や嘔気がある場合には、活気や皮膚の状態などからも、脱水状態になっていないかを観察する
  • 尿量や尿の性状(濃縮・混濁)を観察し記録する
  • 排尿回数、排尿痛、尿意切迫感について患者さんにチェックするよう指導する
  • ADLが低下している場合には、適宜トイレ誘導を行い、本人が安心して排泄できる環境を整える
  • 尿意がある時には我慢しないよう声かけし、必要時には速やかに介助を行う
  • カテーテル抜去後は、初回排尿の時間・量・勢い・痛みを確認する
  • 尿が出にくい、少量しか出ない、残尿感が強い場合は、尿路感染のリスクが上がるため、他の症状を含めて観察し、医師へ報告する

排泄のことって羞恥心にも関わるから、患者さんのプライバシーにも注意したいね。


尿路感染症を振り返ってみるよ!

「尿路感染症」解説記事のまとめ
  • 尿路感染症は、尿の通り道のどこで炎症が起きているかと、背景に問題があるかで重症度や治療方針が変わる。
  • 膀胱炎は排尿時症状が中心で、腎盂腎炎は発熱や悪寒・側腹部痛などの全身症状が強く、CVA tenderness が特徴。
  • 診断には検尿での膿尿確認と尿培養が基本で、腎盂腎炎では血液検査や腎エコー・CT などで重症度や尿路の閉塞を評価する。
  • 治療は抗菌薬が中心で、経過を見ながら効果判定と抗菌薬の切り替えを行う。
  • 看護では、感染拡大を防ぐケア、全身状態の観察、疼痛管理、水分管理・排尿ケアを丁寧に行い、患者の負担を減らしながら重症化を防ぐことが重要である。

よくある疾患だからこそ、油断しちゃいけないんですね…。でもポイントが分かったので、次はもっと自信を持って向き合えそうです!

解説記事で学べること!