
電気的除細動


除細動ってまだ使っているのを見たことがなくて…。
でも実際に使うときは、緊急時だから、落ち着いて対応できる自信がないです…。

緊急時に使うということは、それだけ命に関わる重要な処置っていうことだからね。
まずはどんな機械なのか、目的や使い方を理解していこう!
解説記事で学べること!
除細動器について

除細動器とは、命に関わる不整脈を立て直すための医療機器のこと!
除細動器は、胸に貼ったパッドやパドルを通して、強い直流電流(Direct Current)を心臓に流す。この電気刺激によって、心筋全体を一度まとめて脱分極させ、心臓を一瞬リセットすることが目的なんだ。
心臓が速く・不規則に動いてしまい、血液をうまく送り出せなくなっている状態に対して使われるよ。
リセットされたあと、心臓は本来のペースメーカーである洞房結節の指令に従って、正常なリズムを取り戻すことが期待されるんだ。
除細動の目的
頻脈性不整脈が続くと、心臓は早く小刻みに収縮する状態となり、十分な血液を全身に送れなくなる。
その結果、次のような状態が起こることがあるんだ。
・血圧低下
・意識障害
・心拍出量低下による心不全の悪化
除細動は、こうした循環が破綻しかけている状態を立て直すための治療だよ。

正しいリズムに戻すための治療ってことだね。
AEDとの違い
除細動と聞くと、まずAEDを思い浮かべる人も多いと思う。でも、医療現場で使う除細動器(マニュアル除細動器)とAEDには違いがあるよ。
【マニュアル除細動器の特徴】
- 心電図を見て、不整脈の種類を判断する
- 非同期・同期などのモードを手動で選択する
- エネルギー量を自分で設定する
- 医師や看護師などの医療従事者が使用する
【AEDの特徴】
- 心電図を自動解析する
- ショックが必要かどうかを機器が判断する
- 音声ガイダンスに従って操作できる
- 一般市民でも使用できる

つまり、判断を人が行うのがマニュアル除細動器、
機器が行うのがAEDという違いがあるんだ。
体内植込み型除細動器(ICD)とは
除細動器には、体の外から使うものだけでなく、体内に植え込むタイプもあるよ。それが、体内植込み型除細動器(ICD)なんだ。

ICDは、心臓の近くに植え込まれ、常に心拍を監視している。
・心室頻拍
・心室細動
致死性不整脈を検知すると、自動で電気ショックやペーシングを行い、突然死を防ぐ役割があるよ。
電気的除細動とは
電気的除細動は、リエントリーが原因となる頻拍性不整脈を停止させる治療なんだ。異常な電気刺激が心臓内をぐるぐる回り続けている状態を、電気ショックで一度断ち切るイメージだよ。
ただし、すべての不整脈に同じ方法を使うわけではない。脈があるかどうか、血行動態が保たれているかによって、使うモードを選択する必要があるんだ。
非同期除細動(電気的除細動)
非同期除細動は、心電図の波形に関係なく、任意のタイミングで電気ショックを与える方法だよ。心臓全体を一度リセットし、無秩序な電気活動を止めることが目的なんだ。
適応となる不整脈は以下のとおり。
- 心室細動(VF)
- 無脈性心室頻拍(pVT)
- 心停止状態
これらは、脈が触れず、循環が完全に破綻している状態だよ。だから、R波に同期させる必要はなく、一刻も早くショックを行うことが優先されるんだ。
致死性不整脈に関する詳しい解説はこちら👈
同期カルディオバージョン
同期カルディオバージョンは、心電図のR波に合わせて電気ショックを与える方法だよ。R波に同期させることで、R-on-T現象による心室細動への移行を防ぐことが目的なんだ。
適応となる不整脈は以下のとおり。
- 心房細動
- 心房粗動
- 発作性上室性頻拍
- 単形性心室頻拍
これらは、脈があっても、頻脈のせいで血行動態が不安定になっている状態だよ。
経皮的ペーシング(TCP)
多機能除細動器には、経皮的ペーシング(TCP)機能が搭載されていることがあるよ。これは除細動とは目的が異なり、心拍数を確保するための治療なんだ。
経皮ペーシングの目的は、体表のパッドを通して電気刺激を与え、一時的に心拍を維持すること。
適応は以下のとおりだよ。
- 薬物療法に反応しない症候性徐脈(完全房室ブロック、MobitzⅡ型房室ブロック、洞機能不全)
- 血行動態が不安定な場合
- 恒久的ペースメーカー植込みまでのつなぎ
経皮ペーシングは強い不快感や痛みを伴うことが多いんだ。実施中は、患者さんの意識レベルや苦痛の訴えにも注意しよう。
除細動器の準備と設定
除細動器の設定と準備方法について確認していこう!
除細動器の波形の種類
除細動器のショック波形には、単相性と二相性があるよ。
【単相性波形】
- 電流が一方向にのみ流れる
- 高いエネルギーが必要
【二相性波形】
- ショックの途中で電流の向きが反転する
- 単相性より少ないエネルギーで効果が得られる
- 自己心拍再開(ROSC)率が高い
臨床現場で使われている除細動器の多くは二相性だよ。職場の除細動器がどちらかは必ず確認しておこう!
不整脈タイプ別のエネルギー設定
除細動やカルディオバージョンでは、不整脈の種類と波形に応じてエネルギーを設定するよ。
| 不整脈のタイプ | 波形 | 初回エネルギー設定 | 2回目以降 |
| 除細動 (VF/pVT) | 二相性 | メーカー推奨値 (通常120~200J) または最大エネルギー | 同等またはより高いエネルギー (最大値まで) |
| 単相性 | 360J | 初回と同じ | |
| カルディオバージョン (Afなど) | 二相性 | 100~200J | 初回と同じ、またはそれ以上 |
| 単相性 | 200J | 初回と同じ、またはそれ以上 |

実際の設定は、施設のマニュアルや医師の指示を優先しよう!
TIPS:「初回から最大エネルギー」が主流な理由
近年は、除細動において初回から最大エネルギーを使用する考え方が主流になっているよ。
その理由は、ハンズオフ時間(胸骨圧迫の中断)にあるんだ。
- 初回で成功しないと、再充電・再ショックが必要
- その間、胸骨圧迫が中断される
- ハンズオフ時間が長いほど、救命率は低下する
そのため、初回から成功率の高いエネルギーを使用し、胸骨圧迫の中断を最小限にするという考え方が取られているよ。
電極(パッド・パドル)の貼付位置
電気ショックの効果を十分に得るためには、電極の貼付位置も重要だよ。
前外側(前胸部)
- 鎖骨下・第2肋間胸骨右縁
- 第5~6肋間の心尖部

前後で配置する方法は以下の配置。
- 第3~4肋間胸骨左縁
- 左肩甲骨下部

一般的には前外側(前胸部)で実施されることが多いんだ。
除細動の目的別の使い方
電気的除細動は、緊急性の有無によって対応が大きく異なるんだ。ここでは、緊急の除細動と待機的なカルディオバージョンに分けて整理するよ。
緊急の除細動
除細動の流れ
- 意識・呼吸・脈拍をすばやく確認
- 心停止と判断したら、ただちに胸骨圧迫を開始
- AEDまたは手動式除細動器が到着次第、すみやかに装着
- 心電図解析・評価を行う直前まで胸骨圧迫を継続
- 心室細動(VF)または無脈性心室頻拍(pVT)を確認する
- R波とは同期させず(非同期)に電気ショックを実施する
- 電気ショックは1回のみ行う
- 通電後はただちに胸骨圧迫を再開し、CPRを2分間継続する
ショック後にすぐ波形をチェックするのではなく、速やかに胸骨圧迫を再開することが大切だよ!
観察ポイント
- 心電図波形の変化
- EtCO₂(呼気終末二酸化炭素分圧)の値
- CPRの質の評価
- 急激な上昇は自己心拍再開(ROSC)のサイン
- 皮膚色、SpO₂、瞳孔など全身状態
また、手動式除細動器の充電中も胸骨圧迫を継続することは、循環を保つうえで理にかなっている対応だよ。心肺停止時は、胸骨圧迫を止めないことが何より大切!
待機的なカルディオバージョン(心房細動など)
待機的に行う場合、準備がとても大切なんだ。
患者準備
- 誤嚥予防のため、3時間前から絶食と伝えておく。
- 1時間前からは絶飲食へ
- パッドのあたる部分の除毛の実施
- 金属製品・貼付薬の除去
- 3週間前から抗凝固療法が行われているか、内服状況を確認する
(発症後48時間以上持続、または持続時間不明の心房細動の場合)
火傷や誤嚥など、治療によるリスクを事前に防ぐことが重要なんだ。
鎮静・麻酔
カルディオバージョンは、強い恐怖や痛みを伴う処置。だから、鎮静や麻酔で痛みや恐怖を軽減させるよ。
- 短時間の全身麻酔、または鎮静薬を使用
- 呼吸状態・意識レベルを継続して観察
カルディオバージョンによる合併症だけでなく、鎮静・麻酔による合併症も重要なポイント。覚醒状況や呼吸状態なども観察しよう。
実施時の操作
- 必ず「SYNC」(同期モード)ボタンを押す
- QRS波(R波)に同期して通電
- ショックボタンは押し続ける
- 同期マークが外れていないかを確認
SYNC設定忘れは重大なリスクにつながるため、声かけでのダブルチェックも有効だよ。
実施後の流れ
- 鎮静からしっかり覚醒するまで安静にすごしてもらう。モニタリングも継続する。
- 歩行・飲水・食事が可能になるまでには約1時間程かかる
- 処置後は、ふらつきや飲み込みのテストを行い覚醒状況を確かめる
- 除細動後4週間は抗凝固療法を継続する

処置が終わっても、観察は続いているという意識が大切だね。
電気的除細動における看護
電気的除細動における看護の役割は、安全を確保しながら、全身状態の変化を見逃さないことだよ。特に緊急時は、迅速さと確実さの両立が求められるから、落ち着いて対応しよう。
緊急時の電気的除細動の看護
緊急時の看護は、胸骨圧迫を中断せず、除細動とCPRを円滑につなぐことが最重要だよ。
- 意識・呼吸・脈拍をすばやく確認し、心肺停止と判断したらただちに胸骨圧迫を開始する
- 除細動器装着や心電図確認中も、胸骨圧迫は中断しない
- 心電図からVF/無脈性心室頻拍であることを把握する
- 非同期モードであることを確認し、通電前に「離れて!」と周囲へ声かけする
- 通電時は酸素マスクやBVMを外す
- 電気ショック後は、波形確認より先に胸骨圧迫を再開する
- ハンズオフ時間を最小限にすることを常に意識
- 心電図波形の変化とEtCO₂の推移を確認する
- 皮膚色、SpO₂、瞳孔など全身状態をあわせて観察
緊急時における安全確保のポイント
緊急時であっても、事故を防ぐ視点は欠かせないよ。基本的な確認が、火傷の予防や確実な通電につながるんだ。
- パッドが皮膚にしっかり密着しているか
- 体表が濡れていないか
- 貼付薬や金属製品が残っていないか
- 成人・小児に合ったパッドサイズか
- 酸素投与をしていないか
待機的カルディオバージョンの看護
待機的カルディオバージョンの看護は、事前準備の徹底と、処置後の合併症予防・経過観察が中心だよ。
- 絶食・絶飲食時間を守れているか、確認する
- 除毛、皮膚状態を確認する
- 金属製品・貼付薬がないか確認する
- アンビューバッグを含めた救急カートを準備しておく
- 原則、3週間前から抗凝固療法が行われているかを確認する
- 実施前後のバイタルサインと意識レベルの確認・記録する
- 実施後は、安静解除、飲水・歩行開始時間を確認する
- 脳梗塞症状や誤嚥性肺炎を疑う所見がないか観察する
- パッド部位の皮膚トラブル(発赤・水疱など)の観察し、必要時にはクーリングを実施する
- 火傷がみられる場合は、医師指示のもとで軟膏を使用し皮膚状態を観察
- 除細動後は4週間、抗凝固療法が継続されることが多い
日々の点検とトレーニングをする
頻繁に使用する機器ではないけれど、いざというときに適切に使えるように日々の点検が欠かせないよ。また、トレーニングを積んで焦らず対応できるようにしておこう。
- 点検の実施日を定め、適切に使えるようチェックする
- 除細動器の起動・モード選択を迷わず行えるか
- ECG判読の基本が身についているか
- チームでの役割分担が共有できているか
- 定期的なシミュレーショントレーニングの実施

患者さんが安全に治療を受けられるには、準備と観察、そして医療者側のトレーニングが大切なんですね!

電気的除細動を振り返ってみるよ!
「電気的除細動」解説記事のまとめ
- 除細動器は、頻拍性不整脈によって破綻しかけた循環を、電気ショックでリセットし正常な心拍リズムの再開を目指す機器
- 電気的除細動は、脈がない場合は非同期除細動、脈があるが不安定な場合は同期カルディオバージョンと、状態に応じて使い分ける
- 除細動器の設定では、二相性波形が主流であり、ハンズオフ時間を最小限にするため初回から高エネルギーを用いる
- 心肺停止時は、胸骨圧迫を中断せず、除細動とCPRを円滑につなぐことが救命率を左右するポイント
- 看護師は、安全確保・全身状態の観察・合併症予防に加え、日々の点検とトレーニングによって「いざという時に動ける状態」を保つようにする

落ち着いて対応できるように、繰り返しトレーニングに取り組みます!


