
無気肺


無気肺って、結局どんな治療ができるのか、看護師としてどんなケアをしたらいいのかがわかりません…。

そう思いやすいよね。でも無気肺は、実は看護師の関わりがすごく大きい疾患なんだ。予防も改善も、日々のケアがとても大切なんだよ。無気肺がどんなものか一緒にみていこう!
解説記事で学べること!
無気肺の病態

無気肺とは、肺の一部または全体の空気(含気)が失われ、肺がつぶれた状態のことだよ。
肺はたくさんの小さな袋(肺胞)が膨らむことで、酸素と二酸化炭素の交換をしているんだ。でも、この肺胞がつぶれてしまうと、その部分ではガス交換ができなくなってしまう。その結果、血液中に酸素が取り込みにくくなり、低酸素血症を引き起こすことがあるんだ。
無気肺が起こる基本的な仕組み
無気肺は、主に次のような理由で起こるよ。
肺は「膨らんでいないと働けない臓器」なんだ。だから、どんな原因であっても肺胞がしぼんだ状態が続くと、無気肺につながってしまうんだよ。
無気肺の主な分類
| 分類 | 仕組み | 主な原因・背景 | 起こりやすい状況 |
| 閉塞性(吸収性)無気肺 | 気管支が塞がれ、末梢の空気が吸収されて肺胞が虚脱する | 痰・分泌物の貯留、腫瘍、異物、術後の咳嗽力低下 | 術後患者 高齢者 痰が切れない状態 |
| 圧迫性(受動性)無気肺 | 肺が外側から圧迫され、十分に膨らめなくなる | 胸水、気胸、腫瘍、横隔膜挙上 | 胸水貯留 心拡大 |
| 癒着性(表面張力関連)無気肺 | サーファクタント低下により肺胞が開きにくくなる | 新生児呼吸窮迫症候群、ARDS | 重症呼吸不全 |
| 瘢痕性(拘束性)無気肺 | 肺が硬くなり、拡張が制限される | 肺線維化、長期臥床、疼痛、神経筋疾患 | 慢性疾患 寝たきり状態 |
| 荷重部無気肺 | 重力の影響で背側肺が膨らみにくくなる | 寝たきり、体位変換不足 | 安静による長期臥床 |


無気肺といっても、原因はたくさんあるんですね…!
寝たきりや体位変換は看護の力がよく出る部分ですよね。
無気肺の症状
無気肺の症状は、どのくらいの範囲で起きているか、そしてどれくらい急に起きたかによって大きく変わるよ。
小さな範囲でゆっくり進行する場合は、ほとんど症状が出ないこともある。一方で、広い範囲に急激に起こると、呼吸状態が一気に悪化することがあるんだ。
軽症・慢性の場合の症状
無気肺が小範囲の場合や、ゆっくり進行している場合は、症状が目立たないこともあるよ。
- 無症状のこともある
- 少し息切れを感じる程度
- 動いたときに呼吸がしづらい感じ
- 軽い咳が続くことがある

「あまり苦しそうに見えない」からといって、無気肺が起きていないとは限らないんだよ。
重症・急性の場合の症状
無気肺が広範囲に、急に起こった場合は、はっきりとした呼吸症状が出てくるよ。
- 強い息切れ
- 呼吸困難
- 胸部の不快感や胸痛
- 呼吸数の増加
- 心拍数の増加
このような症状がある場合は、呼吸状態の悪化が進んでいるサインとして注意が必要なんだ。
低酸素による症状
無気肺が進行すると、肺で酸素を取り込める面積が減ってしまう。その結果、体が酸素不足の状態になることがあるよ。
- 口唇や爪が青白く見える(チアノーゼ)
- ぼんやりする、反応が鈍くなる
- 強い不安感や落ち着きのなさ
特に急性に起こった無気肺では、低酸素症状が目立ちやすいんだ。
合併症としてみられる症状
無気肺の状態が続くと、空気が入らない部分に痰や分泌物がたまりやすくなるよ。その結果、感染を起こしやすくなることがあるんだ。
- 発熱
- 痰の増加
- 肺炎の症状を伴うことがある
無気肺は、肺炎など合併症の引き金になるってことを覚えておいてね!
無気肺の検査
無気肺は、症状だけで判断するのが難しいケースが多い疾患なんだ。だからこそ、検査が大切。次のような状況で症状がある場合には、無気肺の可能性を考慮して検査を行うんだ。
- 手術後(特に全身麻酔後)
- 鎮静薬やオピオイドを使用している
- 長期臥床や活動量の低下が続いている
- 深呼吸や咳が十分にできていない状態
- 痰がたまりやすい状況がある
無気肺の診断や評価は、いくつかの検査を組み合わせて行われるよ。
胸部X線検査
胸部X線は、無気肺を疑ったときに最も基本となる検査だよ。肺の中に空気が入っていない部分が、白い影(透過性の低下)として写るのが特徴なんだ。
ベッドサイドで撮影できるため、術後や移動が難しい重症の場合でも実施できる検査だよ。
CT検査
CT検査では、胸部X線よりも詳しく肺の状態を評価することができるよ。無気肺の範囲や形だけでなく、原因となっている病変も確認しやすいのが特徴なんだ。
CTで確認できる所見は以下のとおり。
- 無気肺がどこまで広がっているか
- 円形無気肺や板状無気肺といった形の違い
- 腫瘍や胸水の有無
TIPS|胸部X線・CTで共通して見るポイント
胸部X線やCT検査の画像を見るときは、次の点を意識してチェックされているよ。
・無気肺の範囲(区域性・葉性・全肺)
・縦隔偏位の有無
・横隔膜挙上
・気管支透亮像の消失
・胸水や肺炎を伴っていないか
こうした所見を、患者さんの症状や経過とあわせて評価することが大切なんだ。
気管支鏡検査
気管支鏡検査は、気管支の中を直接観察する検査だよ。特に、閉塞性無気肺が疑われる場合に行われることが多い。
この検査では、以下の状態がないかを確認するよ。
- 痰や分泌物による閉塞
- 異物の有無
- 腫瘍による狭窄
必要に応じて吸引や除去を行い、閉塞・狭窄状態の解消をすることもあるよ。
血液ガス分析
血液ガス分析は、無気肺によって起こる低酸素血症の程度を評価するための検査だよ。酸素がどれくらい血液に取り込めているかを、数値で把握することができるんだ。画像検査とあわせて見ることで、「見た目の所見」と「体への影響」をセットで評価できるというメリットがあるよ。

見た目や症状だけでは判断が難しいこともあるから、さまざまな検査を組み合わせて確認していくよ。
血液ガスについての解説はこちら👈
無気肺の治療
無気肺の治療は、原因を取り除くことと、つぶれた肺をもう一度広げることが基本なんだ。治療方法は、無気肺のタイプや原因、重症度によって変わるんだよ。
原因に対する治療
気道の浄化(閉塞の解除)
閉塞性無気肺では、気道に詰まっているものを取り除くことが治療の中心になるよ。
- 吸引による喀痰除去
- 気管支鏡による痰や異物の除去
特に痰が原因の場合は、閉塞を解除することで肺が再び膨らむことも多いんだ。
原因疾患への対応
無気肺の背景にある疾患に対する治療も重要だよ。
- 腫瘍が原因の場合
- 手術
- 放射線療法
- 化学療法
- ステント留置
- 胸水や気胸が原因の場合
- 胸腔ドレナージによる排除
肺そのものではなく、周囲の問題を解決することで改善する無気肺もあるんだ。
胸腔ドレナージについての解説はこちら👈
肺を広げるための治療(再膨張)
つぶれてしまった肺を広げるために、次のような方法が用いられるよ。
- 体位ドレナージ
- 深呼吸訓練・呼吸理学療法
- CPAP(持続陽圧呼吸療法)
- 人工呼吸器管理下でのPEEP調整
- リクルートメント手技(重症例)
これらは、肺胞にしっかり空気を送り込むことを目的とした治療だよ。
薬物療法
薬物療法は、無気肺そのものを治すというより、改善を助ける役割として行われるよ。
- 痰を出しやすくする去痰薬
- 粘液を薄める薬剤
- 感染を合併している場合の抗菌薬
酸素療法
無気肺によって低酸素状態になっている場合は、酸素投与が行われるよ。
- 呼吸を楽に保つためのサポート
- SpO₂を目安に調整される
原因の治療や肺の再膨張と並行して行われる治療であって、根本治療ではないことは覚えておこう。
無気肺の患者の看護
無気肺は「膨らまなくなった風船」みたいな状態なんだ。一度しぼむと、また膨らませるのはすごく大変だよね。だからこそ、予防と早めの関わりが看護師の大事な役割なんだよ。
術前・術後の看護
術後はどうしても呼吸が浅くなりやすいから、無気肺を起こさせない関わりがすごく大事だよ。
- 可能であれば、術前から禁煙指導を行う
- 術後は、痛みや麻酔の影響で浅い呼吸になりやすいため、深呼吸や咳嗽を促し、無気肺の予防をする
- 寝たきり状態が続くと、背中側・下側の肺がつぶれやすくなるため、早期離床をすすめる
- ベッド上で同一体位が続かないよう、適宜体位調整を行う
- 自力で動くことが困難な場合や、ドレーン類が多くある場合には、こまめに体位変換を実施する
呼吸訓練・体位ドレナージ・胸部理学療法の介入
無気肺の改善には、肺をしっかり膨らませることと痰を外に出すことが必要なんだ。だから、理学療法士などと連携し、ケアを行うんだよ。
- 深呼吸を促すために、腹式呼吸の仕方を指導する
- 無気肺や痰があると考えられる肺区域を意識し、体位ドレナージを選択する
- 気道内の痰を効率よく外に出すため、ハッフィング(効果的な咳)を指導する
- 痰の喀出を促すために、重力を利用した体位ドレナージを実施する
- 重力による肺のつぶれを防ぐために、定期的に体位変換を実施する
- 痰を緩め、動かしやすくするために、パーカッション(叩打法)やバイブレーション(振動法)などを用いる
- 術後の経過や、疲労・息切れの程度に合わせて、無理しないようにリハビリを実施する
- ケア前後は、患者さんの訴えの変化と呼吸状態の変化がないかを確認する
- ケア前後で聴診を行い、呼吸音の変化(呼吸音の減弱・湿性ラ音の有無)や左右差を確認する
- 患者さんの呼吸状態・反応・聴診などを含め、チームで共有しながら介入をすすめる
疼痛コントロール
痛みがあると呼吸は浅くなるよね。それが無気肺につながるって考えると、疼痛コントロールの重要性が見えてくるよ。
- 痛みの有無や程度を確認する
- 鎮痛薬使用後は、呼吸のしやすさを確認する
- 痛みが強いときは、無理な呼吸訓練は実施せず、患者さんのペースに合わせる
- ケアやリハビリは、痛みが落ち着いたタイミングで実施する
- 疼痛により活動に支障がある場合は、疼痛コントロールについて医師へ相談する
- 患者さんの痛みの訴えに寄り添い、相談しながら鎮痛薬を使用する
酸素療法中の看護
酸素は根本的な無気肺の治療ではないけれど、呼吸を続けるための大切な治療だよ。
- SpO₂を継続的に確認し、活動による変化の有無をチェックする
- 呼吸状態に応じて、適切な酸素投与を実施する
- 酸素投与量に合った適切なマスク・カニューラを選択し、正しく装着できているか確認する
- 酸素投与による、乾燥や不快感がないかを観察する
- 呼吸状態が安定した場合には、酸素の減量や中止を検討する

無気肺を起こさない関わりって、看護師が介入できる部分が多いんですね!いつものケアも、無気肺の予防になると思うと質を高めなきゃって思えます。

無気肺を振り返ってみるよ!
「無気肺」解説記事のまとめ
- 無気肺は、肺の一部が膨らまなくなる状態で、原因や起こり方によってタイプが異なる
- 軽症では症状が目立たないこともあるが、広範囲・急性では呼吸状態が急に悪化する
- 見た目や症状だけでは判断が難しいため、背景や経過をふまえて検査で確認することが大切
- 治療の基本は、原因の除去と肺の再膨張であり、呼吸訓練や体位調整が重要
- 無気肺の予防・改善には、看護師の声かけやケア(深呼吸、咳嗽、離床など)が大きく関わる

無気肺は「起こさないための看護」が大切なんだって分かりました!


