
昇圧薬 ≺3/13


ノルアドレナリンとかドブタミンとか、昇圧薬っていろいろあって正直ごちゃごちゃします…。
何がどう違うのか、うまく説明できなくて。

同じ昇圧薬でも「効き方」によって種類が違うんだよ。
昇圧薬について整理していこう!
解説記事で学べること!
昇圧薬とは

昇圧薬とは、低血圧やショック状態のときに
血圧を上げて維持するための薬。
救急外来やICU、循環器病棟など、循環が不安定になりやすい場面でよく使われる薬だよ。単純に「血圧の数字を上げること」が目的ではなく、全身の臓器にしっかり血液を届けること(=臓器を守ること)が目的なんだ。
血圧は、臓器に血液が届いているかどうかを示す大切な指標なんだよ。
昇圧薬の作用機序
そもそも血圧は、「心拍出量×末梢血管抵抗」で表すよ。
- 心拍出量:心臓がどれだけ血液を送り出せるか(ポンプの力)
- 末梢血管抵抗:血管のしまり具合(血管が細いほど血圧は上がる)
心臓のポンプが弱くなったり、血管が広がりすぎたりすると、血圧は下がってしまう。そこで、昇圧薬を使用して血圧を保つんだ。
- 心臓のポンプ機能を高める
- 血管を収縮させて末梢血管抵抗を上げる
つまり、「心拍出量を増やす」か、「末梢血管抵抗を上げるか」のどちら、または両方を調整して血圧を維持しているんだ。
なぜ昇圧薬が必要なのか?
たとえば敗血症などでは、血圧が大きく下がることがある。
主な理由は2つ。
① 血管の中の水分が外に漏れる
炎症の影響で血管の壁がゆるみ、水分が血管外へしみ出す。
→ 血管内のボリュームが減り、血圧が下がる。
② 血管が広がりすぎる
血管拡張物質の影響で末梢血管が拡張する。
→ 抵抗が下がり、血圧が下がる。
血圧が低いままだと、以下のような臓器障害につながるんだ。
- 尿量低下
- 意識レベル低下
- 末梢冷感

臓器を守るために血圧を維持する必要があるんだよ。
昇圧薬の分類と特徴
昇圧薬はすべて同じように見えるけれど、どの受容体を刺激するかによって作用がまったく違うんだ。まずは、その基本となる受容体の仕組みから整理しよう。
受容体刺激のメカニズム
昇圧薬の多くは、交感神経の受容体を刺激して作用するよ。
主な受容体は3つ。
- α1受容体:血管を収縮させる(末梢血管抵抗を上げる)
- β1受容体:心臓のポンプ機能を高める(心収縮力↑・心拍数↑)
- β2受容体:血管や気管支を拡張させる
受容体を刺激すると、身体は次のように反応するんだ。
- α1刺激 → 血管収縮 → 血圧上昇・末梢冷感
- β1刺激 → 心収縮力↑・心拍数↑ → 心拍出量増加
- β2刺激 → 血管拡張 → 血圧低下傾向
つまり、「どの受容体をどれだけ刺激するか」で薬の特徴が決まるということ。
ノルアドレナリンは「血管締めタイプ」、ドブタミンは「心臓サポートタイプ」と整理することができるよ。
カテコラミン系薬剤
体内ホルモン(副腎髄質から分泌される物質)をもとにした薬剤だよ。受容体を直接刺激して作用するんだ。
| 薬剤 | 主な受容体作用 | 主な作用 | 使用場面・特徴 |
| ノルアドレナリン (Nad) | α1 ≫ β1 | 強力な血管収縮 | 敗血症性ショック第一選択。 末梢血管抵抗を上げてMAPを保つ。 心拍数への影響は比較的少ない。 |
| アドレナリン (Ad) | α・β全般 | 強心作用+血管収縮 | 心肺停止時の蘇生、アナフィラキシーショック。 心臓も血管も強く刺激する |
| ドパミン (DOA) | 用量依存 | 少量:腎血流増加 中等量:β1作用(強心)大量:α1作用 (血管収縮) | 投与量で作用が変わる。 高用量では催不整脈性に注意。 |
| ドブタミン (DOB) | β1主体(+β2) | 強心作用 (心拍出量↑) | 心機能低下時に使用。 血管はやや拡張するため、血圧は大きく上がらないこともある。 |
非カテコラミン系薬剤
カテコラミンとは異なる受容体に作用するよ。
【バソプレシン】
- V受容体に作用
- 強力な血管収縮
- アシドーシス下でも効果を発揮しやすい
- カテコラミン抵抗性ショックで併用
バソプレシンはもともと体内にある抗利尿ホルモンなんだ。
ショックが長く続くと、このホルモンが枯渇して血管の平滑筋がゆるみ、血圧が保てなくなることがある。そこでバソプレシンを補うことで、ゆるんだ血管を収縮させ、血圧を維持させるよ。
受容体が違うため、カテコラミン系薬剤の使用中でも、追加で使用されることがあるんだ。
【経口昇圧薬】
- ミドドリン(メトリジン)
- エチレフリン(エホチール)
起立性低血圧や透析時低血圧の予防に使用される昇圧薬だよ。ICUで使う持続静注薬とは位置づけが異なるから注意しよう。
TIPS:ノルアドレナリンの効きが悪いときは?
ショックが長引くと、ノルアドレナリンを増量しても血圧が上がらないことがある。その原因のひとつが相対性副腎不全だよ。
重症敗血症やショック状態ではコルチゾールの分泌が不十分となり、血管がカテコラミンに反応しにくくなることがあるんだ。
そのため、
- 高用量でも血圧が上がらない
- 昇圧薬の反応が鈍い
といった状況では、ヒドロコルチゾンなどのステロイドが補助的に使用されることがあるよ。

ステロイドが直接血圧を上げるわけではなく、血管の反応性を回復させる目的で使われるんだよ。
昇圧薬の副作用
昇圧薬は、心臓や血管を強力に刺激する薬だから、効きすぎによる影響に注意が必要なんだ。副作用は、受容体の作用から考えると理解しやすいよ。
循環器系への影響
β1刺激が強くなると、心臓の働きが過剰になるよ。
- 頻脈
- 不整脈(心室期外収縮など)
- 胸部不快感
- 心筋虚血
心拍数や収縮力が上がることで、心筋酸素消費量が増加するんだ。
特にドパミンの高用量投与では、催不整脈性が高まるとされているんだ。血圧が上がっていても、心電図の変化を見逃さないことが大切だよ。
末梢循環への影響
α1刺激が強すぎると、血管が過剰に収縮するよ。
- 四肢冷感
- チアノーゼ
- 毛細血管再充満時間の延長
血圧が保たれていても、末梢循環が悪化していることがあるから、ノルアドレナリンやドパミン高用量投与時は特に注意しよう。また、「毛細血管再充満時間の延長」は皮膚の圧迫障害リスクが高い、つまり褥瘡のリスクが高まるということも頭に入れておこう。
「血圧がある=循環が良い」とは限らないということだよ。
中枢神経系への影響
交感神経刺激が強まることで、以下の症状がみられることがあるよ。
- 頭痛
- 不眠
- 興奮状態
消化器・皮膚症状
全身作用として、以下の症状が表れることもあるんだ。
- 悪心
- 嘔吐
- 腹痛
- 発疹
その他の注意点
- 高用量カテコラミンによる臓器血流低下
- アンジオテンシンII製剤での血栓症リスク

昇圧薬の副作用かどうかを考えるときは、「効きすぎていないか」を評価することが大切だよ。
昇圧薬の禁忌・投与時の注意点
昇圧薬は循環を立て直すための重要な薬だけれど、使い方を誤ると、かえって臓器に負担をかけることもあるんだ。
心臓への負担(β1作用)
ドブタミンやドパミンなど、β1作用をもつ薬剤は心臓を強く刺激するよ。
- 心拍数増加
- 心収縮力増強
- 心筋酸素消費量増加
そのため、
- 心筋梗塞直後
- 心筋虚血が疑われる状態
- 重度頻脈がある患者
といったすでに心臓がダメージを受けている状態では慎重な投与が求められるんだ。血圧が上がっていても、心電図変化や胸部症状がないか常にチェックしよう。
不整脈リスク
カテコラミンは催不整脈性をもつ薬だよ。
下記の状態では特にリスクが高まるんだ。
- ドパミン高用量
- 電解質異常がある状態
- もともと不整脈既往がある患者
心電図モニターは必須。心拍数だけでなく、波形やリズムの変化を見るようにしよう。
末梢循環不全(α1作用過剰)
α1作用が強すぎると、血管を締めすぎてしまうよ。
- 四肢冷感
- チアノーゼ
- 尿量低下
こういった症状が出たら、血圧が保たれていても、臓器灌流が低下している可能性が考えられるよ。血圧だけで判断せず、全身状態を総合的に評価するように習慣づけよう。
配合変化・ルート管理
カテコラミン製剤はアルカリ性薬剤と混合すると分解されやすいんだ。
- 同一ルート混注に注意
- ルート閉塞の確認
- 投与速度・濃度の再確認
薬が効かない場合、投与内容やルート管理が適切であるかも見直してみよう。
高齢者への投与
高齢者は、以下の機能低下が生じていることが少なくないよ。
- 心機能低下
- 腎機能低下
- 自律神経反応低下
効果が薄くても、急激な昇圧薬の増減は避け、反応を見ながら少量ずつ調整するようにしよう。
昇圧薬投与前/中/後の看護ポイント
昇圧薬は少しの量で循環を大きく動かす薬だよ。そのため、投与前・中・後それぞれの場面で丁寧な観察と管理が求められるんだ。
投与前の看護
昇圧薬は“とりあえず流す薬”ではないよ。始める前の確認が、その後の安定につながるんだ。
- 患者さんの目標血圧(MAPなど)を確認する
- 心電図波形・不整脈の有無を確認する
- 乳酸値や尿量など灌流指標を確認する
- 原則CVルートを確保し、末梢点滴の場合もできる限り太い血管を確保する
- 投与時は刺入部の状態を確認し、血管炎や皮膚トラブルの有無を見逃さない
- 薬剤名・濃度・投与速度をダブルチェックする
- 開始直前に二人で最終確認する
- シリンジポンプや輸液ポンプを使用し、投与前には動作確認を行う
投与中の看護
昇圧薬は微量で大きく効く薬だよ。変化を見逃さないことが大切なんだ。
- 開始・増減直後は5〜10分ごとに血圧測定する
- 心電図モニターを常時監視し、不整脈の出現に注意する
- こまめに(1時間ごとなど)に尿量を確認する
- 四肢の冷感・色調を観察する
- 意識レベルの変化を確認する
- 乳酸値の推移を確認する
- 刺入部の発赤・腫脹・疼痛を確認する
減量・離脱時の看護
安定してきたら減量を考えるよ。減量時も循環動態が崩れやすい場面だから、慎重にすすめよう。
- 一定期間血圧が安定しているからといって、急に中止しない
- 少しずつ段階的に減量する
- 減量ごとに血圧を確認する
- 尿量低下がないか確認する
- 意識レベル悪化がないか観察する
昇圧薬でよくある事例
昇圧薬はわずかな変化がそのまま血圧に出る薬だよ。実際によくある事例でチェックポイントを押さえていこう!
ケース1:突然の血圧低下
さっきまで安定していたのに、急に血圧が60台に低下。
- シリンジ残量を確認する
- ポンプ作動状況を確認する
- ルート閉塞の有無を確認する
- 三方活栓の向きを確認する
まずは「薬が入っているか」を確認しよう。昇圧薬は半減期が短い薬だから、投与が途切れれば、血圧はすぐに落ちてしまうよ。
ケース2:更新直後に血圧が急落
シリンジ交換後に血圧が急激に低下。
- クレンメ開放を確認する
- 三方活栓の向きを確認する
- ポンプ開始ボタンを確認する
- 流量表示を確認する
更新直後の低下は「ライン」を疑おう。こういった状況を防ぐためにも、ダブルチェックは必ず開始直前に行うよ。
ケース3:血圧はあるが末梢が冷たい
モニター上の血圧は安定。でも四肢が冷たい。
- 四肢の色調を観察する
- 毛細血管再充満時間を確認する
- 尿量を確認する
- 乳酸値の推移を確認する
「血圧がある=循環が良い」とは限らないよ。α1作用が強すぎる可能性も考えて、末梢の状態を観察することが大切。

血圧が保てないって本当に怖いので、するべきことをしっかり覚えておきます!

昇圧薬を振り返ってみるよ!
「昇圧薬」解説記事のまとめ
- 昇圧薬は血圧の数字を上げるためではなく、臓器灌流を保ち臓器を守るために使用する薬
- 血圧は「心拍出量×末梢血管抵抗」で決まり、昇圧薬はそのどちらか、または両方を調整して循環を維持する
- 昇圧薬の作用と副作用は受容体刺激(α1・β1・β2)から整理する
- 血圧が保たれていても末梢循環や心電図変化を含めて総合的に評価することが重要
- 昇圧薬は微量で循環を大きく動かすため、投与管理とライン確認を徹底することが大切

薬がどこを刺激しているかを考えると、薬の特徴がわかりやすいです!これなら整理して覚えられそうです。


